「世の中、ちょっとやぶにらみ」

本音とたてまえ使い分け、視点をかえてにらんでみれば、違った世界が見えてくる・・・かな?    yattaro-

「出番待ち」

2009年10月15日 | つれづれ噺
漁船を繋ぎ止めるコンクリートの岸壁に、一見無造作に、でも何となく人間の手で整然と並べられている感じもするタコツボ。

よく見るときれいに磨き上げられている。蛎殻やフジツボなどがそぎ落とされ、まるでスッキリ爽やか、ひげ剃り後の紳士のお肌。あるいはキリッと締まったお出かけの装いにも見える。

「こりゃーどうしたん、えらい綺麗にしてあるねー」「こりゃなにーね、この20日までタコは禁漁じゃから、21日から漬けるのにきれいに掃除してあるんよ…」

タコは今が産卵期なのだそうだ。ここらの漁業組合の申し合わせで、絶滅を防ぐために期限を設けて禁漁しているという。やはり資源の枯渇を防ぐためにそれなりの工夫と努力があるようだ。

「それに、タコツボをきれいにしておかんとタコは入らんのよ、タコはきれい好きじゃから…」と、タコの親戚でもいるようなまことしやかな話が飛び出す。
そう言えば昔昔、マユツバながら笑い話を聞いた覚えがある。タコツボからなかなか出てこないタコをどうやって出すか。 一人の漁師がタコツボの中にツバを吐いたところ、タコが「汚いことはやめてっ…」とばかりに飛び出した。それほどタコは清潔好きなんだとさ…。
マユツバ・マユツバ…。

タコツボを海底深く沈めるのは、ペットボトルにヒモを通してコンクリートで固めた自家製の重しが使われている。「この頃は漁だけじゃ食うていけんよー」という言葉が、秋風と共に身にしみる。 ちょっと浜辺に出ただけで、とっても人間くさい話の数々を聞いた。
まだまだ続きそうである。

      ( 写真: 綺麗に掃除され、出番を待つタコツボ諸君 )
コメント (16)
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