師走に入ってから、なにをしたというわけでもないのに早くも10日が過ぎた。 あと3週間を残すのみだ。何となく焦りみたいなものを感じる。
「この一年を振り返って」とか「年末特集」などという言葉が飛び交う。 この一年とも間もなく永遠の別れが来るのだ。 告別式などで故人への哀惜を込めて、友人や特別親しかった人の代表が「弔辞」を述べるが、あの時の心境に似て、色んな想いの広がった今年一年に対して、感謝の意を込めて弔辞を述べてみたい。
『君の御遺体がご自宅に向かう途中、国会や自民党本部、首相官邸前を通り抜けたとき、永田町はにわかに激しい雷雨に襲われました。道半ばにして倒れた君を思うとき、雷鳴は君の悲痛な叫びであり、驟雨(しゅうう)は君の無念の涙であったと思えてなりません。君の不運への天の深い慟哭でもあったのでありましょう・・・・・・・』
これは、2000年5月に現職の総理大臣で急逝した、小渕恵三氏に宛てた村山富市氏の「弔辞」の前文である。 あの坂本龍馬が刺客に襲われ絶命した直後も、京の街を揺るがすほどの雷鳴・驟雨・うねるような大風が舞ったとか言われている。
これほど上手な弔辞は述べられないが、今年一年に対する思いとしては、何故かこれと重なる思いを述べて、今年とお別れしたい。 同じでなくていい。 形は変わってもこの胸のワクワク感を持ち続けられる新しい1年が来ることを祈りながら、残り3週間をゆったり静かに過ごしてみよう。
( 写真: 京都東山、霊山護国神社にひっそりと建つ、龍馬と慎太郎の墓標 )