岩国に生まれて、子どもの頃から錦帯橋の桜を愛し「日本一のさくら」といって憚らない、ふるさとの作家宇野千代。男女を問わず熱烈なファンが、全国にいてくるのは嬉しい。
但し、肝心なお膝元では今もって、その作家としての評価や、実業家でありパイオニアとしての実績よりも、女の生き方や遍歴が先に論評される風潮が根強い。自由奔放などという言葉では宇野千代の過去を許さないふるさとの現状を、あの世に行って13年にもなるご当人は、どのように見ておられるのだろうか。
地元に限らず、また遠方に限らず、その生き方への評価は色々分かれるだろうし、好みという要素もあるのだから、敢えてどちらとも言い難い。そんな中で、小規模ではあるが一年に一度行う、宇野千代に関する読書感想文コンクールや、エッセイコンクールに対しては全国各地からの応募が寄せられるのも確かな事実である。
今年は、東京の14編を最高に、埼玉6 大阪5・・・そして地元山口が9編。 全国24都道府県から70編が寄せられた。年齢は10代~90代と幅広い。中でも60代17 40代16 30代13と続く。 男性23 女性47名。
内容は、宇野千代の奔放な生き方を賞賛すると共に、可愛い純真さで生き抜いたその生涯に共感を持たれたようだった。
男女平等とか、男女共同参画とか言われながら、現実はそれほどでもない現代社会に対する閉塞感や、女性の気持ちの奥に潜む、解放願望の一端が示されたのかな・・・などと独断偏見に満ちた勝手な思考が頭をよぎる表彰式であった。
( 写真 大阪~福岡までの5人の入選者が出席して行われた表彰式 )