真夏の日差しに向かって咲く真っ白い夾竹桃
暑いね~と愚痴をこぼしながらも、運動不足解消には努めなければならない。
運動不足解消などと言えば聞こえはいいが、本当は流れ落ちる汗の始末や、動くことによる体力消耗を避けたいという現実逃避で身体をかばっているだけのこと。
そのせいで、どうもお腹周りがダブつき気味。これは何とかしないと・・・。
せっかく努力した一時期が無駄になって、スーツのズボンがきつくなりそう。
暑い夏に汗が出るのは当たり前!むしろ自らの意思で汗を流そうではないか、と半ば開き直ってウオーキングに精を出す。精も出すが汗も出す。
そんなお昼前の道すがら、今を盛りに咲く真っ白い夾竹桃に出会った。
当然足は止まる、カメラを向ける。大型の桜の花を思わせる清楚な五弁。
花びらはあくまでも白く、花芯は、恥らう女心を見せるような淡いピンク。
しばし立ち止まって篤と眺めるにふさわしい美しさ。
その昔、会社現役バリバリのころ。職場が3階にあって、広くて清潔なトイレは1階にあった。お掃除専門のおばちゃんがいてくれていつもきれいで快適な場所。
新製品開発の処方組み立てに行き詰ったりすると、頭の回転をひと休めする一時しのぎの避難場所でもあった。ものの3・4分、この短い空白の時間を持つことが意外に大きな効果をもたらしたこともある。但し、その快適な場所の周辺には、かの夾竹桃定番の濃いピンク色がびっしり植えられ咲いていた。
特にジリジリ照り付ける眩しい太陽の下での夾竹桃は、落ち込み加減の気分に益々暑さと辛さで覆いかぶさってくるような八つ当たり的被害感情に陥った経験がある。
そのときの花の色は間違いなく濃いピンクだった。それがどうだ、今出会った真っ白い夾竹桃になんと惚れ惚れするような美しさと優しさを感じている。
何の罪があるわけでもないのに、こちらの置かれた立場や見るときの感情で勝手なことを言われる夾竹桃は哀れである。少しの同情も進ぜよう。
ただ、木自体に毒性を持つことはよく知られている。夏のキャンプなどで、箸の代わりなどもってのほか、家畜などにも食べさせてはいけないという。
そんな危険性も秘めた真夏を彩る花。「危険な愛」「油断大敵」「用心」などの花言葉を持つ夾竹桃。美しいものは何といわれようと美しい。
若いころの間違ったイメージを払拭できるかな?。