満を持して、とでもいうように今年の梅一輪がほころんだ。
玄関わきに生きる、観賞用の八重の白梅。今年は殊の外つぼみの付きがよくて、これから日に日にほころぶ数を増やして楽しませてくれるのであろう。
梅が開花するのは「ほころぶ」と言うことは先刻ご承知の通り。ツバキは開く。桜は咲く。というように、同じ開花でも花によって呼び分けて来た。
そんなところにも古の日本人の繊細さと意識の高さが偲ばれる。
そこへいくと、現代人の意識の低さ、感性のもろさに唖然とするものがちょいちょいみられる。意識ない発言で梅の花でもないのに「ほころび」を露呈し自らの立場を悪くするだけでなく、積み上げてきたその実績までも覆い隠されてしまう愚かさ。
一方で、1年余りの苦境に立たされ続けた新型コロナウイルス感染症。出遅れた感のある我が国の「ワクチン接種政策」ではあるが、ここはひとつ、ほころびの無いように、確かなシナリオのもとに順序だてて整然と早く進めて欲しいものである。
ただ、ワクチンという液体を体内に注入するに当っての「安全性」を心配する声も少なくない。コロナ感染も怖いが、ワクチンの信頼性もね~ といった塩梅だ。
「ワクチンには良い面も悪い面もあるから、自己決定が大事だよ」とおっしゃるのは医師で作家の鎌田實氏である。そして「ぼく自身は、今のところ順番が来たらワクチンを打とうと思っている」と答えておられる。
もちろん、危険性の高いものを世界中が競って打っているわけではないだろうし、いつまでもコロナに怯え続けるわけにもいかない。
ここは一番!自己決定が大事なことである。進退窮まったら、おのれの事はおのれ自身が決めるしかない。
鎌田先生に倣って、順番が回ってきたら肩をまくってワクチンの針を受け入れることにしようか。