夢見るババアの雑談室

たまに読んだ本や観た映画やドラマの感想も入ります
ほぼ身辺雑記です

「源氏物語 千年の謎」 (2011年 日本映画)

2012-07-10 23:55:30 | 映画

ー何故 源氏物語は書かれたのか?ー

現実と物語が重なり合って進みます

一説によれば 藤原道長は屋敷の女房達を一度は味見されたとか
それも役目と都合良く思っていたフシもあるのだとか
多情多恨

精力絶倫なのか稀に見る色魔か
権力かさにきた困ったオジサンか

屋敷で働く女性には迷惑な話だったかもしれません

映画の冒頭
庭を逃げる紫式部(中谷美紀) しつこく追いかけ捕まえる藤原道長(東山紀之)
背後から紫式部を捕らえ申します「諦めなさい わたしは何をしても許される身なのだ」
まぁ確かに屋敷のご主人様でもありますが
屋外でねぇ
誰が見るか判らないのに大胆(恥知らず)ですこと

事が終わりしどけない姿
道長「いつかそなたの書く物語を読ませてくれ 男と女の物語だ」
見つめあい 寄り添う二人

やがて紫式部は紙を与えられ
「我が天下を治める為に 娘彰子が帝に飽きられぬよう物語を書け」と道長から命じられます
もしや道長 己のスケベ心と 紫式部に物語を書かせる為にと 強引な色仕掛けを企んだのか

食えないオジサンである
そうして紫式部が書いた物語世界へ場面は移る
身分がさほど高くはなかったが桐壺帝(榎木孝明)から寵愛受け 桐壺更衣(真木よう子)がいる
他の女御から執拗なイジメを受け寿命を縮めるのだが 特に帝の第一の妃の弘徽殿の女御(室井滋)は凄まじかった

ゆえに桐壺更衣は男子を産むや間もなく儚くなってしまう
彼女の死より三年間 帝は暗い世界をさまよう
母に死なれた光には不憫がかかり 可愛いがります
帝は桐壺更衣に生き写しの藤壺(真木よう子)を妃に迎えました
光は母によく似た藤壺になつきます
光は稀代の貴公子(生田斗真)に育ちます

現実の道長 物語読み「我が意を得たり」ふふふーと笑う

物語世界では光 元服します
弘徽殿の女御の子は東宮に
桐壺帝は後ろ盾ない光のことを案じ
我が子ながら臣下として 源氏の姓を与えます
弘徽殿の女御 喜びます

身分低い女が産んだ子なんか 臣下で当然よと高笑い

弘徽殿の女御は身分高い女性ですから 高島礼子さんあたりが お似合いかと思うのですが
意地悪い中にも 愛されなかった女性の悲しさ 寂しさ

が ここは室井滋さんの怪演でした

臣下に落としたことで桐壺帝は悩みます
源氏に恨まれているのでは?
「私はいつまでもお傍におります」
藤壺 帝を慰めます

現実世界で道長「早く続きが読みたいものよ」
式部「勿体無いお言葉を」
道長「わしとて そなたの虜だ そなたの書く物語に すっかり心を奪われておる」
夜の廊下進む紫式部を庭から道長かきくどきますが 「おやすみなさい」とかわされます

夜道を乗り物の中にいる道長と藤原行成(甲本昌裕)
屋根の上に怪しい影があります
怪しい者は飛び降りてきました
供の者達はうろたえ騒ぎますが
道長 冷静です
正体見極め闘います
道長の兄 道隆の息子これちか
道長の企みにより 既にこの世の者ではなく 怨霊として留まっているのでした
安倍晴明が現れ怨霊は姿を消します

安倍晴明の屋敷は落雷受けたり 落ち着けぬ場所なので 道長の館で飲むことに
堅物の行成
晴明(窪塚洋介)が出した式神の女性二人に驚きます
式神 行成で遊んでいます

物語世界では 源氏 妻を娶ります
親友 頭中将(尾上松也)の妹 葵上(多部未華子)
母親から余計なことを吹き込まれていることもあり なかなか打ち解けてくれません

身分高く玲瓏とした美貌と聡明さが評判の年上の女性 六条御息所(田中麗奈)のもとへ通うようになります
六条御息所は源氏の君が訪れ 嬉しいと思う自分の気持ちをあさましく思ったりしておりましたが 源氏の君への想い 愛情に流されていきます

年下の若く美しい男
賢い彼女のこと
いつかは終わる恋と わかってはいたでしょう

それでも思うに任せないのがー人の心というもの

ーああ このわたくしとも あろう者がー

現実世界では 男御子が生まれ「彰子でかした」と喜ぶ道長
晴明は紫式部に凶相が出ていると道長に告げます

源氏の君は ふとしたことで知り合った夕顔(芦名星)に心安らぐものを覚え 少し六条御息所から足が遠のいていました

源氏の君への恋しさ募る六条御息所は鏡を見るうち ふうっと体から何か不思議な感じになりー生き霊となって身体から離れてしまいます

気がつけば 愛おしげに夕顔を抱く源氏の君を見下ろしておりました

ーあなたの愛を信じた わたくしが情けない ー

怨霊に怯え 夕顔は死んでしまいました
現実世界で 紫式部は語ります「女ぎみは修羅の心を隠すのがお上手 とかくそれを男ぎみは分からないものなのです

物語世界にて
頭中将は源氏の君に 妹 葵上を訪ねてくれと頼む
寂しいと泣きつくことが出来ない可哀想な女なのだ
帝の妻となるべく育てられたので 誇りばかりが高い

しかしながら藤壺が宮中を離れていると知ると そこへ押しかけてしまう
義理の母たる その人を
亡き母生き写しのその女性を 源氏の君は 慕っていた
彼は言う「諦めて下さい わたしは何をしても許される身なのです」
藤壺「わたくしは あなたの母なのですよ」
源氏「夢の中でも お会いしたいと願った ただ一人の女性なのです」
藤壺の言葉に このたびは引き下がった源氏ではありました

舅から葵上の妊娠を教えられた源氏 喜び屋敷に駆けつけます
「わたくしは母親の記憶がありません
これから生まれるわたくしの子は 存分に母であるあなたから愛されましょう
それを見て漸く わたくしは解き放たれるのです」と源氏
続けて「葵上 これからは悲しいことも恨み言も 存分に言って 打ち解けた夫婦になりましょう」

葵上「ええ あなた」
源氏「少しお痩せになりましたね 面やつれしたその顔が いっそう美しい」

他の女性にもそのようなことを言うのかと尋ねる葵上
源氏「安心して下さい わたくしはずっと傍におります」
頷く葵上「ええ ええ」

御簾の向こうへ六条御息所の生き霊が来ている

現実世界で道長「恐ろしい女であるなぁ 六条御息所は一体どこまで源氏を追い詰めるのだ」

紫式部「書きながら初めて ああ この者は こう動くのだと分かるのです」
だから書く前は分からないと話す紫式部に
道長「ほんに恐ろしい女であるなぁ そなたは」
彰子が男子を産んだ時点で物語を書く目的は達せられたのに 今となっては無用な物語を何故 書き続けるのだと道長

紫式部「まさかそれが分からない あなたさまでもありますまい
遂げられぬ想いが わたくしに筆を持たせるのでありましょう」

物語世界で六条御息所へ会いに来た源氏へ 六条御息所「けれど! 愛されてないお方が どうして 孕まれたのでございましょう」

葵上が苦しんでいる
ーいかようにしても物の怪は離れぬのだー
護摩焚きが行われ僧侶達が祈っているのだが 効き目はさほど無い模様

現実世界から異変に気づいた安倍晴明が物語世界へ現れ 呪を唱え始める

晴明「そなたの修羅は これほどのものなのか」

いったん生き霊を撃退
現実世界に戻った晴明は道長に言う
「道長様に益をもたらした女
あの修羅を止めるのは道長様しかおりません」

道長「われは見たいのだ 式部の行き着く先を
才の全てを 業の深さを」

晴明「我が身に害が及ぼうとも」

道長「あの者の才を呼び覚ましたのは この私なのだからな」
葵上 出産する
男子誕生

六条御息所ー何故 罌粟の匂いがとれぬ とれぬのじゃ

髪を洗い続けている

出産終え眠る葵上 その部屋へ 六条御息所 また現れる
「苦しいか わらわはもっと苦しんだのだ もっともっと苦しみ抜いたのだ
起きよ まだまだそなたには苦しみが足りぬ 起きよ」

再び物語世界へ晴明「恨みはやがて我が身に返る 御息所よ もう止めるのだ」

六条御息所「もはや あの方に愛されぬこの身など どうなっても構わぬ
死して煉獄をさまよってもかまわぬ
あの人はわたくしの命 わたくしだけの命」

葵上に覆い被さり六条御息所「これで 終わりにしてくれる」

葵上 死ぬ

訪ねた源氏に六条御息所
「お出でになるのは あなたの優しさからですか
浅ましい鬼となり果てた このわたくしを」

源氏「全て私が悪いのです」

六条御息所「その言葉で 都を離れる決心がつきました
あなたはまだ若い
優しい方を見つけて下さいな
くれぐれもわたくしみたいな情のこわい女には 気をつけるのですよ」

源氏「初めから 何もかも 初めからやり直せるのです」

六条御息所「何度繰り返しても同じこと
わたくし達はまた 同じ過ちを繰り返すのです」
静かに彼女は別れを告げる「さよなら あなた」

嵐の夜 とうとう藤壺と過ちおかす 懲りない男 源氏

「わたくしにとって あなたの代わりなど どこにもいない
葵上も夕顔も あの方(六条御息所)も
その事を お伝えしにまいりました
もう二度とこのような振る舞いは致しません」
そう告げ 去ろうとする源氏に 藤壺 言ってしまう
「愛しいあなたを地獄に落とすことは出来ない」

源氏「もう 堕ちている」

外では王命婦(佐久間良子)が「この悪夢は この一夜の夢で終わるのですか
それとも 新たな悪夢の幕開けになろうというのですか」

程なく藤壺懐妊し桐壺帝喜ぶ

男子が生まれ 桐壺帝は源氏に「ご覧 美しい子であろう
そなたの幼い頃に恐ろしいほど似ておる
きっと美しい者は 似るものなのであろう」

東宮を朱雀帝にし退位した桐壺帝は 病になる

もとの桐壺帝「わたしはもう疲れたのだ
思い残すことはない
光 ただ そなたのことだけだ
数ある子の中で そなたは一番優れた子であった
どうか幼い東宮を守ってやってくれ」

元の桐壺帝は死ぬ

藤壺「わたくしは 亡き院が わたくし達の罪を全て知っておられた
その上でわたくし達の子を東宮になされた
わたくしは その思いを守りたいのです」

現実世界では 紫式部が 里へ帰ろうとしていました 「娘が待っております 早くに父親が死に 長らく寂しい思いをさせました」

道長「われは寂しゅうなるなぁ
そなたの物語が読めなくなると思うと
張り合いが無くなるわ
その後 源氏は どうなるのだ」

紫式部「源氏の君の人生は まだ始まったばかりなのです」

「遠くより見守っております
これからもこの世の栄華を極められるあなた様を」
紫式部は去っていく
源氏の人生は道長と同じように難儀なものであることを告げて
見送り道長「そうよ われの名は光
世をあまねく照らす光だ」

道長 晴明 行成らと月を見ながら酒盛り
道長「まことに美しい月よ われもあと幾度このように月を眺められることか

われはどれくらい生きられる」

晴明「それは わかりませぬ」

道長「相変わらず役に立たぬ男よ」

晴明「道長様 あなたはやはり運の強きお方
あの女(紫式部)が鬼となる前に自ら身を引くとは」

道長 一首詠む
ーこの世をば 我が世とぞ思う 望月の かけたることの なしと思えばー

物語世界では藤壺が出家し 源氏 会いにくるが かなわない

物語世界と現実世界が重なり合いー
橋の上で源氏 紫式部に言う
「どこまで わたしを苦しめるのだ」

紫式部「まだ お分かりにならぬのですか
多くの人間をひきつけ 愛されるあなたは 恵まれた その幸せの分だけ
より多く血を流すのです」

見終わって どこが 誰が印象に残るかと言えば
最初の登場場面から田中麗奈さん
ちょっとした仕草 表情で 六条御息所の感情を よくあらわしていました
生き霊化してからも 演出もあるのでしょうが
凄み迫力 悲しみ 諦め 寂しさ

「さよなら あなた」まで 良かったです

これはあくまで「源氏物語」が何故書かれたかーって話で 「源氏物語」としては 紫上も出てこない
抜粋のようなものです


「宮本武蔵」(昭和48年 日本映画)

2012-07-10 03:28:02 | 映画

1600年 関ヶ原の合戦は朝からタッタ6時間の死闘の末 東(徳川)軍の圧勝に終わった
勝者は敗者の一兵までも許さず仮借なく追及した

雨の中 「たけやん たけやん」と呼ぶ声が聞こえる
呼んでいるのは本位田又八(フランキー堺)
又八「たけやん たけやん おるか 生きとたんか」

たけやんと呼ばれたのは 後の宮本武蔵 この頃は たけぞうと呼ばれている

又八とたけぞうは遠い作州は宮本村から サムライ大将になろうと出てきたのだ
現実はそんなに甘くなかった

たけぞう「お前が死んだら 年老いたおばばはどうなるんじゃ 身寄りのないお通さんは どうなるんじゃい」

又八「たけやん 頼む わしに代わってお通を幸せにしてくれ

ひとかどの侍になるつもりが残念じゃ」
雨の中 戦場で二人肩を貸し合い移動するも いつしか倒れる

雨あがり女倒れている人間の武器を拾い集めている

また倒れている男から取ろうとすると 男は死んでいなかった
そこへ馬蹄の音響く
男「伏せろ」
男も女も死んだふりをする
映画タイトル 宮本武蔵ーと入る

作州宮本村
横笛を吹くお通(松坂慶子)
「たけぞうが捕まったぞ~」と騒ぎ声
人でなし 疫病神 観念しろ!と罵り声

又八の母お杉(任田順好)は「わしのせがれは 何処へ行ったんじゃ」とひどい剣幕である

たけぞう(高橋英樹)は「又八は生きとる それを言う為に戻ってきてつかまり このザマじゃ」と言うが信用されない

「又八の仇をうたせてくれ」と武器振り回すお杉
たけぞうは縄かけられ縛られているというのに
お通必死にお杉の背中から止める

その場をおさめるためもあり沢庵和尚 たけぞうを千年杉に吊す

たけぞう「くそ坊主 うまいこと言うて わしを騙したな これが人間らしい扱いかー」

沢庵「捕まったのは お前がサルで わしが人間じゃからや わかるか」

お通 なんとか助けたいと考えながら機を織っていると 飛脚から手紙が届く
「又八貰い受け候 以降は又八のこと忘れていただきたく お通様 お甲」
又八が他の女と一緒になったという知らせだった

夜 お通 たけぞうを助けに来る
ハシゴをかけ木に登り縄を切り助ける

又八からの手紙のことなど伝え もうこんな村にはいたくない たけぞうさんと一緒に連れて行ってほしいという

たけぞう 本当のことは言えなかった 逆に申し訳なかったと伝える
お通「これで良かったんよ たけぞうさんと一緒に村を出られて」

しかし剣の道に生きようとするたけぞうは 一人行こうとする
「たけぞうさん うちが嫌いなんか」

たけぞう お通と目が合うと たまらず
「好きじゃぁ~」と叫び お通を抱えて走り出す

お通にのしかかり

お通「そないな人やたんか あんたは」

たけぞう「わしが悪いんか」

たけぞう走り去る

この日から3年 たけぞうの消息は ぷつりと切れた

お通は たけぞうを待ち暮らしたが たけぞうは来なかった
更に月日は過ぎる

京都
座敷に吉岡清十郎(細川俊之)がいる
傍らには朱実(倍賞美津子)

宮本武蔵と名乗る道場破りが来たと門弟が 若先生 清十郎を迎えに来る
京八流

清十郎と武蔵の立ち会いについての立て札が五条の橋の近くに立つ
お通も朱実も同じように「たけぞうさん」と呟く

又八もいて お通に よりを戻してくれとしつこい

そこにお杉も現れ お通を斬ろうとする

お通は逃げる

お杉 又八に たけぞうとお通を斬れとたきつける

又八は武蔵に会いに行き お通を返してくれと縋る

武蔵はお通に会っていない

又八は五条でお通に会ったと言う

清十郎は朱実に迫り 泣いて嫌がるものを無理やり力づくで犯す

ことが終わってから「許せ それほどお前には惚れていたのだ
男とは たいがいこうしたものなのだ」

朱実「嫌い ケダモノ お前なんか たけぞうさんに殺されてしまえ」

清十郎 武蔵への嫉妬に燃える

朱実は男に汚された我が身が嫌で 水で体を洗う
洗っても洗っても汚れは消えない気がする

「いっそ死んでしまいたい」と嘆く

又八は娘朱実を男の金目当てに売るお甲を止めようとするも 次の男に「出ていけ」と踏んだり蹴ったりされる

とうにお甲はさえない又八に愛想を尽かしていたのだ

朱実を慰める又八
「又八さん 私を何処かへ連れて行って」
「大阪へ逃げよう」と又八

武蔵は清十郎に勝つ その帰り 佐々木小次郎(田宮二郎)と遭遇する

戸板で運ばれながら清十郎 「誰か俺の右腕を斬り落とせ」

その様子見た小次郎「やはり武蔵にしてやられた
吉岡清十郎ともあろう者が 戸板で戻ったとは 世間の物笑いの種ですな」

小次郎に腕斬り落とすよう頼む清十郎

頼まれて小次郎 清十郎の腕を斬り落とす

清十郎よろめきながら 無理して歩いて帰る

兄の負傷を知り 伝七郎 馬で駆け帰る

清十郎は横たわったまま おじに言う
「わたしは思い上がっていたのです
父の名声が自分の名声であるがごとく
何故死ななかったのでしょう わたしは」

入ってきた伝七郎(佐藤充)
「兄上の汚名は必ず俺が晴らしてみせる」

清十郎「お前の腕では武蔵は斬れぬ
お前までやられたら この道場は滅びる」

しかし逸り立つ伝七郎は止まらない

道場で待つ門弟達に「今から この道場は俺が預かる」

兄を軟弱にしたとの理由で 門弟の一人祇園藤次(穂積隆信)を破門した

雪の夜 伝七郎も武蔵に負ける

次に吉岡道場は13才の年端もいかぬ子供を立て 門弟達が助太刀することにした

映画を観る限り 名門の名前をかさにきた己の客観的な実力知らぬ馬鹿兄弟である
そのおじも名門のならば何しても許されるという驕りがある

決闘の日
お杉 武蔵を殺そうとする
卑怯な手を使い 失敗し
殺せ殺せとうるさい
いや いっそ殺してやったら すっきりすると思うほど

逆恨み 言い掛かり 激しいばあさまである

また武蔵は一乗寺の下がり松
果たし合いに向かう途中
お通と出会う
「たけぞうさんが斬り死になさったら うちも生きてはおらん」
武蔵「ばかな!」
死も覚悟している武蔵は お通に言う
「お通さん 今から私が言うことは 嘘も隠しもない
私はあなたが好きだ」

お通「死んだら嫌じゃ」

武蔵「後へは引けん 剣を持って立った者の定めじゃ」
続けて武蔵
「恨んでくれ 責めてくれ 武蔵はそういう男なのだ
さらばだ お通さん
会えて良かった」
そう言って武蔵は去る
残されてお通
「たけぞうさん けど やっぱ あんたが死んだら うちも死ぬ」

吉岡道場 門弟60人 吉岡兄弟のおじなる人物は言う
油断さえしなければ 正義の剣は負けぬ

いやね だいたい 一人相手に60人というところで 何処に正義
じゅうぶん 間違いなしに卑怯だろうに

何をもって正義の剣と言うのやら
正義が自分の側って思いあがり 好きになれないわ

何をしても勝てばいいのが 京都人の考えと誤解されるぞ

銃も弓矢も用意して たった一人に勝てなかったのか

武蔵が一番に子供を斬ったが卑怯なる言い分も聞くけれど

子供をおしたてた吉岡道場の側こそ
子供を立てたことこそを責められるべきだ
恥ずかしく思うべきなのだ

むざむざ ただ一人にやられ
逆に勝った相手を悪く言う

鬼だのどうのと
余りに負けっぷりが悪すぎる

道場で流派構えておきながら

この決闘場面のあと
笑ったのが
休憩ーと文字が入ります

そして場面切り替わり

奈良 宝蔵院に挑む
武蔵 独白ーこの短い刀で どうして あの長い槍に勝つのか
敵が突いてくる瞬間に飛び越えれば こちらの勝ち
いつ 踏み越えるか
相手が何もできぬ一瞬

次に
宍戸梅軒(戸浦六宏)との対決

雨の中 鎖鎌に胴からめられながら 武蔵勝つ

江戸 柳生流に挑戦

さてさてしつこくも お杉 せがれ夫婦の仇とか 嘘ばかり言って立ち会えと騒いでいる

そこへ柳生但馬守の用人・木村助九郎(河野秋武)が訪ねてくる

柳生は他流試合は出来ぬと断られる

将軍家ご指南の流儀 天下を治むる兵法
ただ勝ちさえすればいい殺生の剣とは異なります
世の為 人の為 潔く死ぬる為と心得まする

武蔵 考えこむ
死ぬる為の剣

歩いていて たましひ研ーの言葉にひかれ武蔵 店に入り 刀研ぎを頼む
研屋耕介(汐路章)いわく「ただの刀はお研ぎしません」と武蔵の刀を研ぐのは断る

そしてある刀を見せた

それは佐々木小次郎のもの

細川家では岩間角兵衛(加藤武)が指南役として強く推す佐々木小次郎がいた
岩間の娘お光(仁科明子)が甲斐甲斐しく小次郎の世話をしている

家老の長岡佐度(加藤嘉)は強く宮本武蔵を推しており 殿(浜畑賢吉)が迷っていると聞き 小次郎怒る
「お断りだ 小次郎の腕も軽くみられたものよ」 しかし「お光どのの父ごに迷惑かけては申し訳ない
考え直すと致そう」

細川の殿 佐々木小次郎に宮本武蔵について尋ねる

小次郎 よくは言わない

「逃げの達人であるそうな」と小次郎から聞いたことを
呼んでおいた武蔵に確認する細川の殿

小次郎と並んで座った武蔵
「世評は色々でございます」

殿「ここに天下一が二人揃うた
どうしたものかな」

小次郎は試合を申し出る
自分に絶対の自信があるのだ
対する武蔵はまだ迷いの中だ

未熟者ゆえ迷うこと多く

細川の殿は売り込み激しい小次郎を好ましく思い召し抱えることにした

武蔵は沢庵和尚を訪ねるが 又八が寺の掃除をしている

出家し沢庵のお供をしていると言う

朱実と逃げて大阪で所帯を持ったが スイカ売りなどするうち酒浸りとなり 朱実と大喧嘩
つい悪い仕事に手を出し 打ち首になるところを 沢庵和尚が助けてくれた

沢庵「とうとう来たか 鼻たれ小僧」
武蔵「何の為に人を斬らねばならんのか わからなくなりました」
関ヶ原の負けいくさ 夜来の雨に打たれ考えたのは 誰とも知らぬ大将の為に命をかけたくない

剣の道に 勤しみたい
心に剣の道への迷いがあり 小次郎との対決も出来なかったと言う武蔵
沢庵「怖じ気づいたのであろう」
武蔵「和尚 千年杉に もう一度 吊して下さい」

沢庵「このわしでさえ まだ悟りのさ もわかっておらぬのに お前みたいな 小僧に悟られてたまるか」
宮本村では お通がお前の帰りを待ちわびておるわーと沢庵和尚は言う

その宮本村では本位田のお杉が帰ったと知り 心配してお通が訪ねていた

一緒に暮らしましょうと優しい言葉をかけるお通を
どこまでも心のねじまがった妖怪のようなお杉は しつこくしつこく殺そうとする
首しめられたお通が動かなくなると
「又八 お前の仇をとってやたわ (次は)たけぞうじゃ
でもって 急に心臓が止まり凄い顔で死ぬ

女優魂というか熱演でした
観ている側は やれやれ やっと死んだと思ったけれど

たけぞうの消息が分かったんじゃと知らせに来た人間 倒れているお通を起こす

お通は気を失っただけだったのだ

お杉 せっかく「死んだ 死んだ」と喜んだのにね

さて沢庵和尚は又八を朱実のところへ連れて行きます
橋の下で暮らす朱実は子供を育てていました
又八に朱実「あんたの子よ バカ バカ 又八のバカ野郎」
沢庵和尚に又八
「わし 知らん間にてて親になっとりました わしを破門して下さい 悟りなど開かんでいい 」
沢庵「又八よ お前は 武蔵より先に悟りを開いたようじゃの 武蔵は生涯 アホのままじゃ」

慶長17(1612)年 4月12日 船島にて宮本武蔵と佐々木小次郎は戦う
武蔵のもとへ細川家の長岡が向けた使者(牧冬吉)来るも 武蔵は「船島へは自分で向かいます
小次郎は主君の船
わたしが長岡様の船で行けば 長岡様が殿と敵対することになる
どうか長岡様に宜しくお伝えを」

又八と朱実も武蔵を訪ねて門司へ来ていた

船島で細川家の侍と 小次郎は武蔵を待っている

小次郎は連れてきていた鷹に「城に帰れ」と空に放す

一刻も経つのに 武蔵はまだ来ない

細川家の威信をかけて 岩間は もし小次郎が負けた場合 相討ちであることに見せかけようと 手勢で

寄ってたかって武蔵を殺そうと準備している

宿で武蔵は木を削り 刀の代わりにするため形づくっている

武蔵「ご主人 そろそろ引き潮になろうかの」

宿の主人(有島一郎)「引き潮は巳の刻かと」

武蔵「船は人目のつかぬ場所へまわしておいてくれ」

あらためて主人へ「世話になった ここに折りにふれ 彫った観音像がある 何の礼もできんが受け取ってくれんか」

主人「今夜もまた 同じ灯りの下で 世間話ができますように」

船に向かう武蔵 お通が待っている

武蔵「こんなところまで一人で来たのか」

お通「はい」

おばば様が亡くなりましたーと教える

武蔵「又八は知っているのか」

少しおいて武蔵「許せ つれなき者が必ずしも つれない者ではない そなたばかりが」

お通「判っております」

武蔵「許してくれ」

「武士の女房は出陣の時に女々しくするものではない 笑って送ってくれ これきりかもしれん」

武蔵は いよいよ船に乗ります

船頭「だいぶ遅れましたなア 辰の刻はとうに過ぎましただ」

船島へ着くのは巳の刻を過ぎるかもしれないーと言う

雨が降る中 武蔵待つ小次郎 伏せてある武士達に気づき 戦いをやめると言い出す

小次郎「まったくもって無駄なご配慮 武蔵は必ずこの小次郎が倒してご覧にいれる」

やっとやっと武蔵が来る 海の中 歩いて島に上がる武蔵

小次郎「待ちかねたぞ 武蔵」

武蔵「ここでよいのか」

小次郎「よいか 武蔵を斬るのは佐々木小次郎だぞ」

そう言って鞘を投げ捨てる

武蔵「惜しや 小次郎 早や散るを急ぐか」

小次郎「何?!」

武蔵「勝つ身なれば何故鞘を捨てる 小次郎負けたり」

小次郎「ふふ 戯言を申すな」

走り斬り合い 小次郎倒れる 飛んで止めをさしておいて武蔵 急ぎ船に乗り島を離れる

細川家の侍達 急ぎ船に乗り追いかける

武蔵の船の船頭「なぁに 誰も追いつけるものですか」

又八「たけやん もしもの時は お前の骨を拾うてやる気だったが とうとう会えんかったのう」

朱実「たけぞうさんが負けるものですか」

又八「勝ったら勝ったで・・・・・ あいつは これから どうなってしまうんや」

船に乗っている武蔵が映り映画は終わります