ちょっとドキリとする表紙です
４７才ばかりで２００５年に杉浦日向子さんは亡くなられました
収録された随筆に自身の短い生命線に触れています
編集者とテーマをきめて旅に出たり 旅先で酒・食べ物
興味ひかれ好奇心赴くままに
そんな なんやかやが書かれています
解説は石川英輔氏
夏目信人 職業 警察官
かつては 罪を犯した少年と向き合う法務技官だったー
幼い娘が通り魔に襲われ 犯人は逮捕されずー
彼は警察官へ転職した
夏目信人が捜査する事件を 事件に関わる人々の視点で語る
「黒い履歴」
小出伸一は二年間 少年院に入っていた
その過去から人員整理の対象にされやすいし なかなか仕事も見つからない
離婚した姉の奈緒子とその娘の春菜との三人暮らし
その日 居酒屋をクビになった伸一は ゲームセンターで得意のぬいぐるみ取りをする クレーンゲームで春菜にぬいぐるみのおみやげを
帰り道 春菜の友達の舞に出会い 家の手伝い頑張るご褒美にとぬいぐるみをプレゼントし帰宅すると 間もなくサイレンの音が響く
伸一達が暮らすアパートの大家で舞の父親が殺された
少年院行きの過去あることから容疑者になるかと思う伸一だが 夏目は会話から別の人間に疑問を持っていた
伸一が姉の罪を被り少年院に入ったこと 今度も姉の罪に気付いた伸一が犯人になろうとしたことまで 夏目は知っていた
「ハートレス」
息子の死から人生の目的を見失いホームレスになっていた松下雅之は 知り合いのホームレスの死体ショウを発見する
ショウは粗暴な男だった
松下が気にかける同じホームレスで病気の老人ナカさん
二人の前に現れた刑事・夏目は 松下に言う
自分が何のために頑張って何のために生きるのか
ぼくにもよくわからない
でも
踏ん張りましょうよ
「プライド」
夏目と一緒に捜査することになった捜査一課の長峰亘
ストーカーに悩んだ過去ある女性が殺された
痴情のもつれか？！
夏目が独特の切り口で真相に気づく
最初はこのぽんこつと夏目のことを思っていた長峰だがー
「休日」
息子の行動に不安覚えた吉沢は 学生時代の友人の夏目に相談しようと思いつく
彼は休日を利用し付き合ってくれた
子どもと向き合うこと
それは夏目にはできない
十年間 彼の娘は意識不明のままだから
「オムライス」
前田恵子の内縁の夫の英明は火事で死んだ
夏目は犯人を見抜き 犯人が本当に殺そうとしたのは 別の人間だったと指摘する
オムライスーから 彼は気付いた
「傷痕」
田辺久美子には心配な生徒がいた
自殺を図った有香
ー私は汚れているー
有香に会いに刑事となった夏目が来る
学生時代を知る久美子は 納得できない
どんな理由があるにせよ 何で刑事に
しかし事件解決後 彼女は思い直す
刑事らしくない刑事がひとりぐらいいたっていいではないか
「刑事のまなざし」
塚本聖治は過去の行動から昔いじめていた太田に バラされたくなければ 妻の恭子を抱かせろーと脅迫を受ける
職場に押しかけ嫌がらせ繰り返す太田に 塚本は殺意を固めるが 太田は既に殺されていた
過去に関わりあり刑事となって姿現した夏目
彼が犯人と見抜いたのはー塚本の妻の恭子だった
全ては過去に塚本の起こした行動に始まっている
塚本は自分の罪の重さが人の親となった今 漸く身にしみて分かる
事件を通して長峰は 夏目が紛れもなく刑事のまなざしを持っていることに気づく
解説は青木千恵さん
丁寧な解説です
買おうか迷ったらーまず解説を読んで下さい
これは いい物語です