娘が退院してから1年。
病院と違って、家で暮らすと、ほかの人と会うことが非常に少ない。
以前いた病院だと、決まった時間にホールに出て食事だのおやつだのがあったから、他の入院患者さんたちと会うこともあったし、1日3種類のリハビリが行われていたから、看護師さんや療法士の皆さんと会うこともあった。
週に1回だけは、前にいた病院へリハビリに出かけるが、会う人は少ない。
家で、家族とだけしか顔を合わせない暮らしは、変化が少ない。
そんななか、いつも娘のことを気にかけてくれている方が、先日、久々に会いに来てくれた。
娘が倒れる前に勤めていた職場の同僚に当たるAさんが上司に当たるBさんをお連れして来てくれたのである。
2人とも、日頃は仕事があって忙しいというのに、貴重な休みの日をさいて娘に会いに来てくれたことは、本当にありがたかった。
いろいろと会話を進めるうちに、Aさんは、数か月前に来てくれた時よりも、娘の反応がよくなっていることを認めて、喜んでくれた。
親であっても、かつての職場で娘がどのように働いていたのかまでは全く知らない。
今回、AさんやBさんと話をして、それを少し知ることができた。
受付の仕事をしていた娘は、そこに訪れた人が、どう行動すればよいのかをわかりやすくするマニュアルを作ったりした。
一緒に働いていた人が辞める時は、率先して別れの言葉を書くように手配して職場の人たちに色紙を回していた。
そういう、手間がかかることなのに、自分から進んで人が気持ちよく過ごせるようにしていたことや行動が早かったことなどに感心していた、と、改めて娘のことをほめてくださった。
なかなか職が定まらず、パートとしてそこに勤めていた娘であったけれども、その職場のことが本当に好きだったことや、周囲の人に可愛がられていたことがわかった。
それらの話を聞きながら、娘にも時々話を振ると、それなりに覚えていることにはうなずいていたり、話に加わったりしていた。
娘の個性とそこの職場がよく合っていたことが、改めてよくわかったように思えた。
Aさんは、うちの娘とは、3か月間くらいしか一緒に勤めていなかったらしい。
でも、こうして気にかけてもらっていることは、親として本当にありがたいと言うしかない。
とてもありがたい訪問であった。
2人が持って来てくれたおみやげは、プリンであった。
夜にそれをいただく前に、娘は、付箋にお礼の言葉を書いた。
私に、写メ撮ってそれをAさんに送ってほしい、とのこと。
さっそく送ったら、Aさんから返信があった。
「図々しくまた伺います」とのこと。
図々しいなんて、とんでもない。
これからも、ぜひ。です。
娘にとって、よい記憶を思い起こさせることは、精神的にも記憶の回復にもよいことだろう。
心地よくそのことをさせてくれたAさん、Bさんに心より感謝!!!