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60代を迷えるキツネのような男が走ります。スポーツや草花や人の姿にいやされ生きる日々を綴ります(コメント表示承認制です)

「緊急事態宣言の夜に ボクたちの新型コロナ戦記2020」(さだまさし著;幻冬舎)

2023-12-28 20:40:18 | 読む

「緊急事態宣言の夜に ボクたちの新型コロナ戦記2020」(さだまさし著;幻冬舎)

この本は2021年2月25日第1刷発行となっている。

COVID-19感染症による不安が世界中に広がり、まだどのように収拾するのか分からなかった頃の出版だ。

本書は大きく第1部と第2部に分かれている。

 

第1部 2020年のさだまさし

第2部 風に立つライオンとさだまさし

 

第2部は、さだが2015年に設立した「風に立つライオン基金」の活動をめぐる話が中心となる。

創設から2020年に至るまでに行った活動が書かれている。

第1部でも、その基金の活動ぶりについての話は多い。

なぜなら、さだは、今回の感染症禍で、その基金の活動を通じて少しでも役に立ちたいと立ち上がったのだったから。

本書は、その基金の設立者として、試行錯誤しながら取り組んだ1年間の活動が述べられている。

 

とりあえず、その活動について詳細な話はおいておくが、第1部には、感染症が広がった2020年の様子が詳しく述べられている。

 

2020年の9月1日、6か月半ぶりに開いたコンサートのことから、話は始まる。

採算の取れない50%制限の入場者。

観客の、入場時の検温、靴底の消毒、アルコールによる手指消毒、マスク着用の徹底、換気、2m以上のソーシャルディスタンスなど、様々な考えうる限りの配慮をして、コンサートは行われたのだった。

 

そこに至るまでの感染の脅威が始まる1月からの変遷が、書かれている。

最初の緊急事態宣言が発出された4月7日は、奇しくもさだの母の祥月命日であった。

そこでさだによって書かれたエッセイは、4ページほどしかなくさほど多いわけではないが、しっかりした内容があったと思う。

都市封鎖が行われない日本の法律は、日本が民主主義国家であり、自由な国である証で、誇りに思うべきだと述べている。

 

そして、このエッセイを読んだスタッフから、「あなたは歌手なのだから、このテーマは歌うべきでしょう」と言われ、翌日夜に書き始め、一気にその次の朝までに完成させたのが、「緊急事態宣言の夜に」という曲だった。

この曲がどんなものだったかは、歌詞はネットで調べればすぐに分かるだろうし、YOUTUBEで歌を聴くこともできるだろうから、確かめてもらえれば幸いだ。

 

そして、この頃、医療現場で物資が不足しているから、風に立つライオン基金で何かできないか、という相談があり、支援物資を送るなど、感染症禍での基金の活動が始まっていく。

ちょうど、前述の歌が発表されてから、取材が増えてきたこともあり、その活動は本格化していく。

 

その1年間に並行して起こったことが、そういえばいろいろとあったのだ、と改めて思う。

・7月の九州の豪雨被害

・8月の第102回夏の甲子園大会の中止

・マスクの買い占め

・自粛警察

・大学の授業停止

 

今となっては、3年前のこととなって遠く感じる。

けれども、われわれが経験してきたこの大変さを、簡単に忘れてはいけない。

まだ変異株は次々と登場し、感染者は多く存在する。

少しずつ乗り越えてきたことを考えながら、無防備に感染禍前と同じ振る舞いをすることは避けたいものだ。

 

それにしても、さだまさしの行動力にはほとほと感心する。

この感染禍にあっても、自分にできることを次々と探し、チャレンジしていっている。

ただの歌うたいではないなあ、との思いを新たにした。

歌い手であり、物書きであるだけでなく、ある種のリーダーなのだなあ、と今まで思ってもみなかったことを、本書から感じたよ。

 

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