『生涯を共にする伴侶として、性格が似ていたほうがいいのか違ったほうがうまくいくのかと、若い人に尋ねられることがあります。
もちろん、人それぞれで、いちがいには言えません。しかし、ものの考え方や生き方について、どこか共通したものを持っていることが大事ではないでしょうか。
愛情はもちろん大切です。しかし、人の心はとりとめのないもので、なにかのきっかけで、あんなに好きだったのが大嫌いに一変することがあるのです。
どんな家庭をつくり、どんな人生をめざすか、二人が共通のものを心に持っていないと、だんだん歩く方向が違ってきて心が離れ離れになってしまいます。
といっても、夫婦だからといって、考え方から好みまでなにもかもが一致していなければならない、ということではありません。一か所、かなめのところで価値観が一致していれば、心が通い合い、一つの目標に向かって、足りないところを補い合ってあゆむことができます。
その中で信頼感が生まれ、互いに尊敬し合えるようになってくるのです。そうして絆を一つずつ太くしていくことが、長い結婚生活を支える力になっていくのだと思うのです。』
庭野日敬著『開祖随感』より