日本伝統の俳句は、わずか17文字で感動した心のうちや情景を瞬時に切り取る文芸です。省略のきいた作品は、読み手に恵まれると作者の思い以上の感動をもたらします。想像をふくらませるよき読み手が必要なのです。作者名を伏せて作品の発表、批評の場が句会です。
江戸時代のように身分がモノを言う世界では、ペンネームつまり俳号を使うことでみんなイーブンの関係に立てました。
本来句会は上下関係を離れた平等の世界ですが、「俳句教室的句会」では主宰の好みが絶対というおかしなところへ堕するリスクもあります。作者名を伏せた相互批評こそがおもしろいのです。苦しんで生み出した作品は、どのように解釈されようがどのように読まれようと自由、作者があーだこうだと説明するのは愚の骨頂なのです。あなたもハイクしませんか。
春の句会の私の感銘した作品をどうぞ。
☆たとふれば野を駆けまはる春の駒 恵美子
☆身ほとりへ天眼鏡を置く日永 美津子
☆のみこんだ言葉の先や鳥雲に 英子
☆ものたりぬ鸚鵡返しの春炬燵 がゆう
☆花の下ひとりとひとりの二人かな 好子
私の作品
羊水のなかの酔歩やおぼろ月 駿
あるだけの釦たたみに春惜しむ
夢の途中を売られてをりぬ桜鯛