『おくのほそ道』で翁と曽良が2泊した村上市は私の俳句仲間の故郷です。前世の因縁でしょうか前からなんとなく行きたい町でした。町家で持っている屏風(びょうぶ)を一般公開する祭りがあるとのことでソレとばかりに行くことにしました。
ところが大型台風の来襲で延期、ひと月遅れの訪問となりました。屏風祭は過ぎており残念。
新潟駅からの特急はやめて空いているコトコト各駅停車です。白新線という鉄路名ですが「新」の新潟は分かるけど「白」はどこなのでしょう。
穀倉地帯の越の国、さすがに田んぼは広々として白鳥が屯し遠山はしぐれて来ます。戦国時代は領土の分捕り合戦が繰り返されたでしょうね。途中の新発田(しばた)は有名な武将がいたなぁ。相棒は新発田が読めません。変な読み方してます。
ひなびた風情の村上駅の天井には塩引き鮭のマスコットが吊るされて揺れています。100円の市内循環バスが有難いです。二人だけの空き空きバスで楽々と市内を2コース巡り、大方の感覚を掴みました。お城の山のかたちが素敵ですが時雨で登れませんでした。
先ずは鮭の遡上、母川回帰(ぼせんかいき)を見んとタクシーで三面川(みおもてがわ)の土手から鮭伝統館(イヨボヤ会館)へ。江戸時代に乱獲から育てる漁業へ転換させた村上藩士・青砥武平治の先覚の明と30余年の忍耐強い努力に敬服。川の名前もいいですねぇ。他国の領土に侵入してまで赤サンゴを根こそぎする野蛮なやからに見せたい所です。
市内には開いた塩引き鮭が軒に並んで揺れています。爺さんが今さき獲物にした太き鮭を自転車の荷台に運んでいきます。ここはまさに鮭のふるさと、しゃけの町です。
保存されている武家屋敷にも干し柿と揺れて、雪吊りの庭には紅葉が散り敷いています。いいところですよ。