『人を育てる教育でなにより大事なのは、楽しさだといいます。
学ぶ楽しさがなくては、人は育たないのです。私どもの教会でも、その楽しさがいちばん大事ではないでしょうか。いかに修行の場とはいえ、苦しみに耐えるだけの場になってしまったのでは、長続きするものではありません。
ある音楽の先生が、生徒のレッスンを長続きさせるコツについて、「授業は厳しくても、なにか一つほめてあげて、気持ちよく帰ってもらうことが大事」と言われていました。
なにごとであれ、一つのことを本当に身につけるのには、まず、やり続けることが大切です。人は、ほめられると向上心に火がついて、学ぶことが楽しくなり、希望がわいてきます。それが懈怠(けたい)の心に打ちかつ力になるのです。
人の欠点は嫌でもすぐ目につきますが、人のよいところは努力しないと見えてきません。
ほめ上手の人は、その努力を欠かさないのです。どこか一つでもいいところを見つけて、ほめてあげる。
お辞儀の仕方一つでもいい、返事の大きさだけでもいいのです。そうして教会を楽しい修行の場にしていく努力が、自分を大きくする修行にもなっているのですね。』
庭野日敬著『開祖随感』より