四季の歌と暮らす

 年齢ごとに「一度っきり」の四季と、
旬(しゅん)のヨコハマを味わう「くりごとの集」です。

さすがヤンキースの黒田投手

2012-11-30 18:16:16 | 生かされて今日

 今シーズン16勝を挙げてニューヨーク・ヤンキースのエース格となった黒田博樹投手は、打線の援護が無くても黙々と耐えるフオアー・ザ・チームの姿勢が球団の人物評価を上げて次年度年俸12億円で残留しました。レッドソックスからの14億円のトレード申し出を振ってである。なんて格好いい日本人だろうか。

大阪上宮高校から専修大学、弱小球団広島カープに入団し10年、ドジャース3年、ヤンキース1年、年齢は来シーズン38才で元ヤンキースの松井秀喜と同年だそうだ。彼の高校時代からの座右の銘が西郷さんの漢詩だそうで驚きました。

『耐雪梅花麗』、雪に耐えてバイカうるわしと読むらしい。試練を乗り越えてこそ栄光がある、血のにじむ苦労がなければ成功はないという意味。なるべく楽ちんで果報だけ頂きたい私は大いに教えられました。ヤンキースのジラルディ監督とジーター主将もその漢詩にいたく感動したそうです。私の故郷鹿児島の偉人、西郷隆盛翁のお言葉がアメリカ大陸で拡がって嬉しいです。大阪出身の黒田投手は、勇気を尊ぶ薩摩隼人なんですね。

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恋は魔物だ

2012-11-26 16:15:24 | 歌の花束

 万葉集の巻の4に恋と言う魔物に捕捉されて、心身がマヒし身動きできない歌があります。広河女王(ひろかわのおほきみ)という貴族のお姫様です。

  『恋は今あらじとわれは思えるを

                 いづくの恋いぞ掴みかかれる』

もう恋することは無いと思っていたのにどこの恋かしら、つかみ掛かってくるよ。恋が私を掴んで離さないなんて、擬人法を使っていて表現が独自で大胆、生々しく素晴らしい。

好きになると四六時中恋人のことばかり浮かんできて、あーだこーだと心配な妄想が失恋の不安をかき立てるのです。一点に意識固着してマヒした心になり、他のことが考えられなくなるのでしょう。皆さんも青春時代の記憶が残っていませんか。

現代のカップルは邪魔する親をかわしてケータイで直接意思を確かめたり推量し得るでしょうが、古人たちは顔も見せることはないからアクセスが大変でしたでしょうね。

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名越切通のやぐら群

2012-11-19 09:33:04 | 生かされて今日

 鎌倉七口のひとつ名越切通(なごえきりどうし)は、三浦半島に蟠踞した三浦一族への防御のための軍事施設といわれています。

騎馬や兵が一挙に鎌倉へなだれ込まぬよう道が狭くしてある山坂で、山水がしたたる薄暗い不気味な地域です。下をJR横須賀線が走ります。材木座長勝寺さん側から線路沿いにぬかるんだ山坂を登りますとまんだら堂やぐら群です。逗子市教育委員会により十二月九日までの土日にその史跡が開放されているので久しぶりに見学に参りました。

鎌倉は平地が少なく墓を平地に作ることを禁止したために山地に横穴、やぐらを掘り遺骨を納めたようです。一般庶民は野ざらしですが武士や僧侶、貴族の権力者のみお墓が営まれ五輪塔がやぐらの中に並んでいます。薄ら寒の中を遺跡保護のボランティアされている方から資料を頂きました。150もやぐらが残されているそうです。木の根が蛇のように食い込んだり、すでに崩壊している穴もあります。謀反渦巻く鎌倉ですから斬首された頭蓋骨が出土したそうです。

鎌倉の紅葉、黄葉は今から進むようです。残る虫のか細い声、カラスウリや赤のまま、石蕗の花やノアザミがやぐらを取り囲んで得も言われぬ空間でした。7、8百年前の鎌倉は天皇のおられる京都と日本の権威ある武家政治の中心地でした。庶民は掘っ立て小屋住まいで飢餓、疫病で平均寿命は30台だったでしょう。

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みんなと歌う会

2012-11-15 17:17:57 | 生かされて今日

 ボランティア愛の音楽会が主催される「港南童謡の会」に初めて参加しました。500円のワンコインでピアノ演奏のリードでお昼の2時間なんと32曲も皆さんと歌いました。公会堂は300人をこすナツメロ愛好家で一杯です。舞台上のリーダー達はみんな素人の方々らしく初々しく盛り上げようと懸命で親しみが湧きました。

参加してみて、昔の故郷の景色や両親の私への思い、学校先生のこと、亡くなった友、大学時代の青春、失恋や妻との恋愛時代、妻の母親が浮かんできます。忘れ去ってしまったことが走馬灯のごとく押し寄せてきました。懐かしさや懴悔反省、涙もにじんでとても精神的に豊かな時間となりました。歌詞の豊かな言葉にも気づいて歌をうたうと、温泉につかるようで気が晴れ渡る効用があります。「かなりや」「お猿のかごや」「ずいずいずっころばし」「ステンカラージン」などなど昔新宿の歌声喫茶の雰囲気です。

ペギー葉山の「学生時代」、いいですね。立教大学だと思っていましたが青学だそうです。わが本社に近かった青山学院大の学食や本屋にはお世話になりました。

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野毛動物園の吟行

2012-11-12 10:59:25 | 生かされて今日

 冬初めの曇り空を横浜市立野毛山動物園に10時半集合して吟行、午後は句会をやりました。あかざ俳句会(飯村寿美子主宰)の秋季吟行会には41人が集まりました。遠方の秦野の会員や飛び入りで会員でない横須賀の若き女性が参加されました。

 野毛山動物園は象はいませんがお子様連れで大賑わいです。昔子育て時代に来たきりだとか、戦後の野毛は浮浪児が多くいたとか懐かしがっていました。元気印のレッサーパンダ、夫婦で毛づくろいしているマントヒヒ、昔話に出てくるキジやヤマドリ、キリンに縞馬などなど。吠え声に誘われてアムール虎に出会いました。巨大な猫でスタイル拔群、威厳十分です。大草原が懐かしいでしょうね。檻の中が狭くて悲しいですね。私たち人間も同じように、「自分で作った狭い檻」に本来の自分を押し込めているのだと思います。

句会の高点句は次の作品で、わたしは零点でした。


◯コンドルの冷気をたたむ檻暗し   とも子

◯凍空や麒麟の背伸びギギギギギ   照子

◯しぐれ雲キリンの首に下りてくる  寿美子主宰

◯北風(きた)を噛むキリンの口の歪みかな  邦彦

◯マフラーを結び直して虎の前    英子

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文人の俳句

2012-11-10 05:40:44 | 俳句

 中公新書『文人たちの句境』関森勝夫著を読んでいます。副題が「漱石・龍之介から万太郎まで」とあり好著です。俳句専業でなく手すさびの作品ですが、さすがに文芸に秀でた方々の句は教養に富、いやらしさがなく素直な好句が多い。明治は遠くなりにけりの文豪たちですが、恋心は万古不易です。真っ先に読んだのは「女人賛歌」、恋のうたです。

 ☆黒塀にあたるや妹が雪礫  夏目漱石(慶応3年生)

   私が一番好きな句で手帳に書きうつしました。あの厳粛なお顔の文豪に、こんな青春、純情があったのですね。ふたりの仲がうらやましい限りです。黒塀が 懐かしいなぁ。和服の美人に「このひとわぁ」と雪を投げつけてもらいたいものです。わが明治生まれの父ははにもこのような恋があったでしょう。

 

☆萩の露こぼさじと折るをんなかな  幸田露伴(慶応3年生)

   どんな和服の、しとやかなお方ならんと想像が膨らみます。「をんな」の表記、音がなまめいて日本人に生まれて良かったと思います。

 

☆女湯の声の覚えや春の宵   会津八一(明治14年生)

   生ぬるい春風に女湯の声、色っぽい句ですね。いろんな声の中からなじみの女に気付いたのです。

 

☆明眸の見るもの沖の遠花火   芥川龍之介(明治25年生)

   花火より景色よりも、横にいる浴衣姿の美女をいとおしく眺めているんです。


 ☆雪ふるといひしばかりの人しづか   室生犀星(明治22年生)

    いいですねー。炬燵のふたりでしょうか。

☆ほほゑめばゑくぼこぼるる暖炉かな  室生犀星

   洋間の暖炉でのふたりきり。このしあわせもん、勝手にしろと言いたくなる気配です。

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寒中100日の荒行に

2012-11-02 05:16:09 | 生かされて今日

 今日、11月1日から来年2月10日までの100日間、千葉県市川市の中山法華経寺でお坊さんの大荒行が始まりました。なんせ睡眠時間3時間、朝寒の3時からの水垢離が日に7回、その間は読経三昧、身に付けるものは白木綿で足袋なしの素足、一汁一菜の粗食に耐えぬく信じられない苦行です。睡魔、飢えの苦しみに全国から今年は151人のお坊さんが旗のぼりを持った檀那の見送りを受けて入山されたそうです。まさに命をかけての修行なのです。

今から寒へ向かう時節に入りますが、来年の2月10日に満行会、再びこの娑婆世界へ戻られます。この期間荒行堂に近づきますと読経や水行などの声や音が漏れてきて、身が引き締まります。来年2月写真のように尊くたくましいお姿で荒行堂から無事出て来られるよう祈るばかりです。

悩み深き方や青少年には是非2月10日早朝に参拝されると、修行僧の気迫、オーラに心が洗われますよ。当山には日蓮聖人自筆の国宝、『立正安国論』と『観心本尊抄』がございます。

 過日御会式に出席させて頂いた横浜常照寺さんの息子さんがナント4回目の挑戦をされるとおっしゃつておられました。凄いことです。日蓮宗では加持祈祷の出来るのは、この難行を成し遂げた修行僧に限られるのです。

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