惜しまれて亡くなった歌人・河野裕子の名を冠した短歌顕彰で今年は第2回となります。その受賞作品から私の好きな歌をご紹介します。
あの大震災の日から大津波や放射能汚染で家族が崩壊、崩れかけている方々、この理不尽な仕打ちに我慢されている方々を思うと・・・。家族は最小の社会、こまやかな人間味を取り戻す場です。その家族間の思いやりを歌つています。
★遠からずどちらかひとりの残る家ふようが咲いてむくげが咲いて 岡山県 河田朝子
☆息子には連れ添ふ女(ひと)のゐることを藍の日傘をかざして聞けり 京都府 大石悦子
★病得て家離れゐるわが妻に庭の木蓮咲きしを告ぐる 福岡県 堀江英毅
☆就職の決まりし孫は初刷りの名刺百枚仏壇に供ふ 千葉県 旭 千代
★施設にて父は幾たび泣いただらう貧しい昔の家族を恋ひて 京都府 坂根美和子
☆娘(こ)の連れて来しこの男何者ぞ交す会話に五感めぐらす 香川県 上久保忠彦
★しわしわでふにゃふにゃしててちっちゃいが君も今日から「田中」なんだね 京都府 田中 佐和子