四季の歌と暮らす

 年齢ごとに「一度っきり」の四季と、
旬(しゅん)のヨコハマを味わう「くりごとの集」です。

河野裕子さんを悼む(その2)

2012-06-29 11:26:29 | 歌の花束
 現代歌人40年の夫婦相聞歌から私が選んだ闘病の短歌をどうぞ。愛別離苦(あいべつりく)は避けられない四苦八苦のひとつです。

夫 永田和宏氏
 ○白まばら紅まばらの梅林に
          ふたりの時の短きを言う

妻 河野裕子さん
 『私がしなくてはならないことは永田和宏という人を一日でも長生きさせること。私の仕事は全部放っておいても、永田が帰ってきたとき、お皿をあたためて少しでもおいしくと思って待っているのです。・・・・子供より永田和宏を大事にしてやってきた』

 (子供は付録だと私たち夫婦も同感です 駿)


妻 ●今ならまつすぐに言う夫ならば
          庇って欲しかった医学書閉ぢて


夫 ○平然と振る舞うほかはあらざるを
          その平然をひとは悲しむ
  ○君とおなじレベルで嘆くことだけは
          すまいと来たがそを悲しむか
  ○がんばっていたねなんて不意に言うから
         たまごごはんに落ちているなみだ

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河野裕子さんを悼む(その1)

2012-06-28 14:49:26 | 歌の花束
 現代女流歌人で人気の河野裕子さんは乳がんとの十年の闘病に力尽き64歳で逝かれました。お正月の宮中歌会始の選者で、美智子皇后もその早き死を悼んだ歌を発表されました。ご夫君は科学者で歌人永田和宏さんで、歌会始の選者、朝日歌壇の選もされている有名な現代歌人です。この歌人夫婦は40年間お互いに5百余の相聞歌を交わしていたそうで驚きます。愛妻を追慕して『たとへば君』と題して出版されました。ガン発見から訣別までの随筆や歌に感動し、考えさせられます。最も近い他人である夫婦でも、病人が出ると心には棘が出やすくなります。もし妻が癌に冒されたら私は心の襞まで分かり合える夫婦になれるだろうかと不安に思う。

 蒸留水と息子がわれを批判せしと
      うれしそうなり妻の口ぶり(永田和宏)
 「この家にあなたは住んでいない」と
      不意にしずかな声に言いたり
 意地のごとく息子とわれを比較する
      妻のこの頃好きとは言えぬ


 あの時の壊れたわたしを抱きしめて
    あなたは泣いた泣くより無くて(河野裕子)

 なんにしてもあなたを置いて死ぬわれにいかない
    と言う塵取りを持ちて(永田和宏)


裕子さんの「泣くより無くて」、和宏氏の「塵取りを持ちて」が切ない。
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「増税反対」の無責任

2012-06-22 10:56:12 | 生かされて今日
 民主党の分裂が始まるらしい。こうゴタゴタする政権党はうんざりだ。身内で決められない政党が、野党のいる国会で決められる訳がない。小沢派の皆さんはどうぞ脱党独立して国民に存在価値を判断してもらえばいい。
大震災と放射能の傷が生々しい時節に足を引っ張る政局をつくりどうなんですか。
国民の中でこの大不況下に増税を喜ぶ人がいるわけがない。「誰だって増税は反対」だ。しかし、ギリシャのような破綻は避けねばならぬ。我々の選んだ、自民・公明の長期放漫政権のツケをほったらかし、知らんぷりでツケを孫やその子達へ転嫁することは出来ません。早く手を打つしか無いのに、増税反対ばかりを正義ずらして言えるものだ。財政破綻への代案を出して政策論争をせよ。代案なき増税反対は国民への迎合、自分の当選だけを考えている証拠だ。小沢チルドレンよ、小沢氏の為に尽くすよりも、国民のための議員なんだ。君たちは何を市民のためにしてくれたのだ。
一票の格差が大きすぎて憲法違反だと最高裁から指摘されています。身を削る選挙制度改革を断行して議員定数を減らして下さい。たのみます。
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判断しない罪

2012-06-15 05:01:47 | 生かされて今日
 福井県にある関西電力大飯原原子力発電所の再稼働について、県議会の各会派の議員はその可否についての判断を放棄して、県知事に任せたそうです。こんな無責任な議会があるでしょうか。県民の命がかかる、また経済や家計に重大な影響がある可否の判断をしない地方議会て必要でしょうか。県民の税金を食んでいる代表たちが判断しないでどうするのでしょうか。無作為の罪ではないでしょうか。
まさに民主主義の放棄に等しい行動ではありませんか。県民の福祉利益より、自分の選挙での影響を考えているのでしょう。どちらに転んでも責任は取らない、自分はかんけー無いと県知事に丸投げとは情けないセンセー達だ。
各議員は安全を取るか現実的生活を優先するのかの政治姿勢を出すべきではないかと思います。判断をしない政党、指導者は無能で無用だと思います。300万人も死なせた太平洋戦争にズルズルと引き込んだ暗い過去の政治を想像します。

 お隣の富山県では幼児の脳死決定により臓器移植が開始されるそうです。幼子を喪われたご両親が臓器移植を決断された勇気、そしてその悲嘆に涙しております。合掌
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ふるさと鹿児島への旅(最終回)

2012-06-10 06:34:19 | 生かされて今日
 体育会系の二人は高校のラグビー選手で、うち一人は大学でレスリングをしていたそうです。その二人の話しを聞くと高校時代に噴火のため登山禁止の桜島へ登った無茶をしていたそうです。鹿児島では「ボッケモン」と云いましてキカン気のやんちゃな奴、と云う意味です。弱虫軟弱な「ヤッセンボ」の反対語で、血の気の多い薩摩隼人では褒められる所業でしょうか。女々しい男は「おなごケッサレ」、つまり女の腐ったような男だという大恥をかかされる言葉です。やはり武勇を称える伝統は生きていましたが、今は女性上位に変わりましたね。
 山形屋は鹿児島で権威あるデパートです。名古屋では松坂屋の如くかっこいいブランドと信じられています。山形屋のファミリー食堂のヤキソバが美味いと聞いたので如何ならんと寄りました。乾麺に具沢山のあんかけです。ボリューム感ありなるほど美味しい。各テーブルに大きな瓶に薄い茶色の液体が置かれているので聞きますと、三杯酢です。これをヤキソバにかけますと、ウマーイ。ふるさとを歩きまわり疲れていたのでさすが山形屋とタップリかけました。安くてお勧めです。天文館の和田ラーメンがひいきでしたが、店主おばぁさんの引退で無くなったのは残念だ。むかし息子と尋ねた際におみやげまでくれてその情にビックリしました。ふるさと鹿児島は情の熱き国です。
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ふるさと鹿児島への旅(クラス会)

2012-06-07 14:38:06 | 生かされて今日
 帰省のメインイベント、天保山中学校3年4組のクラス会です。16人がなつかしい再会を果たしました。参加が初めての女性は車椅子で来てくれて皆拍手で歓迎しました。互いに名前よりもアダナの方が呼びやすいです。
遠来は関東から3人、奈良から1人、名古屋から1人が参加しました。元のおんな級長が手作りのハッピを誂えてくれました。コツコツ皆の体型を想像して縫ってくれたので、凸凹はありますが全員で着て記念写真を撮りました。ふるさとのクラス会は情が濃厚です。あっという間に歓談は時間となり、次回は2年後に東京あたりでとなりました。帰り二人で天文館で焼酎とおでんを頂いて別れました。鹿児島市は桜島の降灰で参りましたが、もっと帰郷しなければと思いました。だってへその緒が鹿児島につながったままなのですから。
 全国の皆様、鹿児島は銭湯自体が天然温泉で、歴史が豊か、焼酎にきびなご、おでんにかつおぶしなど食べ物は安くて素晴らしいところです。桜島や垂水(鴨池港)へのフェリーは大自然を安い料金で眺めることができる絶好のコースです。ぜひ、きやったもんせ。
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ふるさと鹿児島への旅(その4)

2012-06-03 18:36:58 | 生かされて今日
 
鹿児島生まれの有名な俳人は少ないのですが明治生まれの篠原鳳作(しのはらほうさく)と昭和生まれの福永耕二が双璧でしょう。長崎鼻に篠原鳳作の句碑が南シナ海を望んで建てられておりました。東大を出て宮古中学などで教鞭をとった新興俳句運動の旗手でしたが、わずかに30才で早世されました。季語を入れない「無季」の俳句を推進、敵対した水原秋桜子が「鳳作こそは無季の最高作家だ」と云わしめた俳人でした。

♪しんしんと肺碧きまで海の旅     ♪満天の星に旅ゆくマストあり
♪麦笛を馬柵(ませ)に凭れて吹きにけり
♪吾子たのし涼風をけり母をけり    ♪枕辺に苺咲かせてみごもりぬ

私は季語の有無にこだわらず、季節感がにじむ作品であれば良いのではないかと思います。
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ふるさと鹿児島への旅(その3)

2012-06-01 05:51:45 | 生かされて今日
 鹿児島経済界の巨人だった岩崎与八郎翁の造られたリゾートに寄りました。観光ホテルの周りには青芝に高々と椰子のそよぐゴルフ場やテニスコート、美術館が配されて、まさに五月晴れの豪華な保養地です。
岩崎翁は東京世田谷に岩崎学生寮をつくり、故郷の貧乏学徒を支援して下さいました。私も幸いに入寮試験に受かり大学生活を200人近い仲間と濃厚な寮生活に恵まれました。朝食付で、洋間の二人部屋で、4年生からは和室の個室でした。人生の友を頂きました。
この寮の土地には明治の元勲、樺山侯爵邸があったそうで、広大な周囲はバラ園でした。近くには今の日本女子体育大学があり、フォークダンスやソフトボールの試合をしました。まさに青春時代を過ごさせて頂いたのです。像を仰いで合掌し恩を報じました。
 ♪マイムマイム踊る寮祭ばら薫る  駿
今ここに立つと岩崎翁の壮大な夢の大きさをしみじみ感じさせて頂きました。海紅豆や南洋の花が咲いて素晴らしい風景に深呼吸し一句。
 ♪帰省子に船ゆく椰子の木の間かな  駿
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