徒然草(つれづれぐさ)は今から約680年前に卜部兼好が書き、江戸時代からのベストセラーで日本三大随筆(枕草子・方丈記)の一つです。
兼好法師は当時の大歌人で京から現在の横浜市金沢区の称名寺・金沢文庫近くにしばらく住んでいた事が第三十四段に書かれています。が、彼の出自について慶応大学の小川剛生教授が大昔から定説となっていた京都吉田神社の一族とは別人の説が出て衝撃を与えています。神奈川県立金沢文庫の研究者も同様に吉田神道とは別人説を立てております。何百年も学者先生文化人がだまされていたということです。ホントは卜部兼好がその人らしい。
人生観・死生観や趣味芸術論や面白い逸話などを二百四十三話に収てあります。第150段をおおよそ和訳すると以下のとおりです。
芸事を身につけようとする人は、「下手なうちは、人に知られないようにしよう。恥をかかぬよう内々でよく練習して上手くなってから人前に出たら、奥ゆかしいだろう」と常に言うようだが、このように言う人は一芸も身に付くことは無い。まだ未熟なうちから上手の中にまじりて、そしり笑はるるにも臆せず、意に介せずはげむ人は天分がなけれども、上手の努力しない者より終に上手の位にいたり、徳たけ、人に許されて双なき名を得る事なり。
つまり芸事は初めからベテランの多い中で揉まれたほうが早く上達するよということでしょうか。
踏んだり蹴られたり馬鹿にされても精進し続けることが肝要だと教えています。俳句も同様ですね。