朝日歌壇の選者4人が去年の年間秀歌各10首を選んでおられます。その40首から私の好きな10首を、僭越ながら選んでみました。激戦を勝ち抜かれ新聞に掲載されるだけでも凄い短歌なのに、更に絞られた最優秀の年間秀歌なのです。
私が好きな10首を分析すると、母に関する歌、老病の歌、政治社会に関する歌が各3首ずつ、魂祭の歌が1首となりました。
○独り居に母を残して帰る時いっしょうけんめい母は笑えり 滝 妙子
最も心に響いた作品です。「いっしょうけんめい」の措辞に目が潤みます。親不孝でしたから。
○嬰児(みどりご)を初めてぎゅっと抱きしめるこの蠢(うごめ)きが胎動の正体 黒河内葉子
○胸の上生まれたばかりの息子抱く命の重み3224 小島 梢
二首共におんなならでは歌えない、男は身体では分からない母性の尊い歌です。私たち男も
母親の苦しみから命を頂きました。
○日本へ帰ったはずの沖縄をまだ沖縄を返していない 和田國基
無慈悲な地上戦と米軍占領時代、更にその上戦後の日本を守る為の米軍基地の負担。
私は精神的に沖縄県に負い目を感じております。
ともあれ、同じことを感じられた方がいるのだとうれしくなり、一言コメントを残しました。