四季の歌と暮らす

 年齢ごとに「一度っきり」の四季と、
旬(しゅん)のヨコハマを味わう「くりごとの集」です。

他を傷つけるな

2018-06-17 09:54:58 | 元気を頂く言葉(庭野日敬師

 『お釈迦さまがご在世当時のインドに、コーサラ国という大国がありました。その国の王さまが、あるとき「私がつらつら考えてみるのに、どう考えても自分より愛しいものはない。そなたはどうか」とお妃に尋ねたのですが、お妃も、考えてみるとやはり自分がいちばん愛しい。

それで、お釈迦さまにおうかがいしてみることにしたのです。その王と王妃に対して、お釈迦さまは、

「自分がいちばん愛しいと知ったら、人もまた自分がいちばん愛しいと分かるはず。だから、人を害してはならない」

と教えられたのでした。

私たちはふだん、自分の立場からしかものごとを見られないのですが、そこで一度踏みとどまって、相手の立場に立ってみる。相手の立場に立って考えてみる。すると、同じことが、まるで違って見えてきます。目からウロコが落ちたように、相手の心、ものごとの本当の姿が見えてくるのですね。

人さまの立場に身を置き換えて見直すことができるようになることが、「慈眼」を具えることだといってもいいと思うのです。』

庭野日敬著『開祖随感』より

 

コメント

仏教は漆黒を照らす明かりだ

2018-06-13 09:32:58 | 元気を頂く言葉(庭野日敬師

 『江戸時代の有名な儒者だった佐藤一斎に、「一灯を提げて暗夜を行く。暗夜を憂うることなかれ。ただ一灯をたのめ」という言葉があります。

時代の流れが大きく変わるときは、真っ暗闇の夜と同じで、何か手がかりが欲しくなります。それで、あれこれ新しい情報を求めるのですが、結局、それに振り回されるだけに終わることが多いのです。目先の動きに目を奪われて、長期的な見方ができなくなってしまうからです。

変動がはげしいときほど、頼める一灯を持たなくてはならないのです。

日蓮聖人は、「木の根が深ければ枝葉は枯れず、水源に水があれば流れはかれない。薪がなくなれば火は絶え、大地がなくては草木は生長することができない」と教えておられます。

どっしりした基礎を持たなくては、いくら最新情報を集めてみても、何をどう変えればいいのかさえ分からなくなってしまいます。行く先ばかりを見定めようとあせらず、まず足元を定めなくてはなりません。

 

庭野日敬著『開祖随感』より

 

コメント

他人の力をかりれる人に

2018-06-11 06:49:06 | 元気を頂く言葉(庭野日敬師

 『どんなに万能な人であっても、一人の力には限りがあります。十人の力、百人の力を借りなくては大きい仕事はできません。それは百も承知でも、人にまかせ、人に頼むのが苦手という人が多いものです。

 嫌な顔をされたり、気兼ねしてやってもらうより、自分でやってしまうほうが気が楽だ、と一人で仕事を背負いこんでフウフウ言っている人がいますが、それを見てまわりが同情してくれるかというと、「あの人は、なんでも自分でやらないと気が済まない人だから」といった見方しかしてくれません。

 人の力を借りるのは、相手の人に「私は信頼されているんだ。人の役に立てるんだ」という喜びを与えてあげることにもなるのですね。大事なのは、頼み方です。頼み方ひとつで、人を発奮させる材料にもなれば、押しつけられた、とやる気をなくさせることにもなってしまいます。

 松下幸之助さんは「私は学校を出ていないから、人がみんな頼もしくみえる。わしはやれんが君ならできるはずだと相談すると、みんな一生懸命になってくれるんですよ」と話されています。信頼して人にまかせるのも礼拝行なのです。』

庭野日敬著『開祖随感』より

 

コメント