16時頃、地元の上空に氣味の惡い模様が俄かに浮かび、出先から帰城した途端にザッと雨が降り出す。幸ひ我が町内は程なく止んだが、首都圏では激しい雷雨となった場所もあった云々。地上が高気温のところに上空へ寒気が流れ込むと發生すると云ふこの突發性豪雨は、いまや日本の夏の特徴的な天候として、すっかり根付ひてしまった。この異常な降雨によって夏の訪れを實感するやうになったのだから、明らかに私の季節感は狂ひはじめ . . . 本文を読む
私が本来の私になれる時間──朝のラジオ放送で謠曲に耳を傾ける。今日は寶生流の「藤戸」が謠はれる。漁師だった我が子を理不尽に殺された女が、新たな領主となって現れた加害者に、我が子を返せと強く迫る──前後のシテを通じて、哀しみの内から率直な怒りを權力者に見せるところがこの曲の特徴なれど、しかしそれをつとめて静かに謠ふことで、思ひの深さを強く訴へる。そんな泣き寝入りをしない姿からか、近年では反戰思想の曲 . . . 本文を読む