橫濱高島屋ギャラリーにて、「高野光正コレクション 発掘された日本の風景」展を觀る。
實業家の高野光正氏が米英に渡った明治日本の繪画を長年かけて蒐集し、日本に里帰りさせた名品の約700點より115點を精選した記念展。
明治の日本において、西洋人から洋画の技法を學んだ日本の若き藝術家たちによって描かれたニッポン風景は、西洋人の目に映ったニッポンを日本人の目を通して描いたような、不思議に倒錯したもうひとつの明治日本を生み出す。
(※案内チラシより)
しかしこれらは外國人相手に制作されたため、そのほとんどが海外へ渡って長らく仕舞はれてゐたとはまさに“寶の持ち腐れ”、多難を乗り越えて蒐集にあたった高野光正氏の功績(しごと)は大きい。
さうして日本でも知られるやうになり、百年が經った現代に至り高く評価されるやうになった画家が笠木治郎吉(かさぎ じろきち)であるが、そのはっきりとした構図のなかに繊細な躍動感を湛えた、特に妙齢の女性の表情を鮮烈にとらへた水彩画は、ハテどこかで一度會ってゐるな……、と思ひ調べたら、
平成三十年(2018年)十二月に、橫濱市歴史博物館の企画展で會ってゐるのである。
ニッポンの美人画の歴史は、明治の西洋文明流入よりやっと始まったと私は考へてゐるが、決して記憶を裏切らない画のなかの女性(ひと)を想ふ氣持ち、
ゆめゆめ笑ふことなかれ。