甲州清里に降り立つ。
清里驛前の綺麗に整備された町並は、1980年代に仕組まれた“バブル”なる亂痴氣好景氣時代の名殘りにて、
あたりには藝能人の名を冠した店が出現するなど、“第二の原宿”な街並みを目論み、そこへさうした場所をうろつきたがる面々が數多押し寄せ徘徊する異様な賑はひも、“バブル崩壊”と共に街並みもろとも泡と消え、
廢店後は一部で今なほ殘る放置同然な廢屋が、
“成金どもの夢の跡”な殘り香を、
令和現在に傳へてゐる。
しかし、その町並みにはゴミ一つ落ちてゐない清潔さが保たれてゐることには、
意外と云っては失禮だが、驚かされる。
現在は寂れたと云ふより、もともとの落ち着きを取り戻したと云った風情にて、私は現在の靜かな雰囲氣のはうが好きだ。
翻って、JR小海線の現在は無人改札の清里驛も構内は至って綺麗で氣持ちがよく、
ホームから線路を見ると、向かふで保線作業員の方々がポイントレールの點検を行なってゐる様子が見えた。
人が使ふものを守ってゐるのは人であると云ふ、ごく當たり前ながら忘れがちなことを静かに教はった氣がして、
その大収穫が今日のお土産である。