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別の衣裳箱から、大昔に“名誉称号取得”の配り物で貰ったガーゼ手拭ひが出て来たので、それで夏用のマスクを縫ふことにする。
これで木綿生地の覆面は何枚になったらうか?
この調子だと、予約注文した冷感マスクのことなど忘れてしまひさうだ。
いつ、どこであったか、『フェイスマスク』と銘打たれたしろものを目にした記憶があるが、なんとも面白ひナマエを創るヒトがゐるもんだと思ふ。
七月から、千駄ヶ谷の能樂堂では座席の間隔を充分に保つために切符の販売枚數を減らし、防菌對策を細かに施した上で公演を再開云々。
しかし、
『百日の説法屁一つ』
とやら、咳だのクシャミだのを派手にやらかす微量の、しかし必ずゐるさうしたお客のために、大勢がその日の観能を後悔することになりさうだ。
相変はらず順調な數字を叩き出してゐる東京都の感染者數、七月以降はかうした場所も集團感染場所にあがってくることだらう。
……せっかく作った夏用の覆面、せいぜい城内で使ふのが賢ひかしら?