迦陵頻伽──ことだまのこゑ

手猿樂師•嵐悳江が見た浮世を気ままに語る。

てつみちがゆく―東京駅丸の内口

2012-04-15 18:10:20 | 鐵路
第二次大戦によってその美しい姿を長らく損なわれていた東京駅丸の内口の駅舎が、いま復原工事の大半を終えて、開業当時の姿を見せている。

明治の大建築家、辰野金吾博士の代表的建造物が、いま半世紀以上の時を経て、蘇ろうとしているのだ。

この美しい建物を見上げると、かつてこれらを破壊した戦争と云うものに対して、愚かさと、強い怒りを感じずにはいられない。




そして、この美しい駅舎を取り囲むようにして建ち並ぶ、現代建築たちとを見比べる。

画一的と云うのであろうか、なんとまあ個性の無いビル達であろうと呆れる。


道案内で、

「あそこのビルを…」

と指さして、

「え、どのビルですか?」

と訊き返されたと云うのも、さもありなん、である。


現代ニッポンがどういうニンゲンたちを造り上げてきたのか、これらのビルたちが象徴しているようだ。




個性を認めず、

押し潰し、

みんなといっしょの箱型に押し込め、

そうして出来上がった、

なんの特徴もない、

他人(ひと)と同じことしか出来ない、

つまらない、

押し寿司のやうな、

“右へならえ!”な、

現代人。


そんなのが、

“これからは個性を重視しよう!”

などと気炎を上げても、

もともと己れらにそれが無いのだから、

結局は、

「そんなワガママは認められない!」

などと宣って、

全てはもとの木阿弥。




かれらが長じてナニを造り出すか、

楽しみにしていてやらう。
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