この頃は興行界もすっかり調子付ひてゐるな……、と思ってゐたところへ今回の措置、鐵鎚が下った、と云ふものです。
木挽町とその界隈で云へば、大部屋役者の感染を皮切りに、父親のお陰でその身を保ってゐるに過ぎない身の程知らずのボンボンが感染するべくして感染、あらうことかその父親と立女形、二人の人間國寶の命を危機にさらし──その後に藝術院賞を受賞ですから、全く人生チョロいものですな──、先月には出演中の浄瑠璃屋が感染と、公表されてゐるだけでも三度の不始末、従来の感染予防對策なる言ひ訳が効かなくなってきてゐることを、しっかり自覺するべきでせう。
「感染経路不明」とする實質の黙秘者のなかには、必ず劇場へ出かけた者も含まれてゐると、私は強く信じてゐます。
宣言期間が短期であらうが延長にならうが、今回を外したらまう後が無い──
私はそんな氣がしてなりません。