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東京タワーのレッドイベントスペースで開催されてゐる「不屈の政治家 安倍晋三写真展」へ、やうやく出かける時間を得る。
産經新聞社のカメラマンが撮り續けた、故人安倍晋三元首相の報道冩真より150點を厳選した追想冩真展で、さういふものを選んだにせよ、引き締まった顔、にこやかな顔のすべてが「嘘」の無い表情に満ちてゐて、一國の代表であり續ける“器”とはかういふものかと、その一枚一枚に魅入る。
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(※遠景冩真ならば會場内の撮影可)
そしてその人物の大きさが、後ろに冩ってゐる當時の國務大臣たちとは明らかに一線を画してゐるのがはっきり表れてゐるあたりは、まさに冩真の真骨頂、面目躍如たるものがある。
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冩真パネルに添へられた解説のなかに、
「正しい政策であっても、優先順位が正しくなければ意味をなさない」
と云ふ意味の安倍元首相の言葉が紹介されており、そこに政(まつりごと)の最前線における一國の舵取りの難しさを垣間見たのが、深く関心のあったこの冩真展における、私の一番の収穫。
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その後は地下鐵で皇居前まで足を延ばし、今年から再開された皇居乾通りの一般公開に、初めて行ってみる。
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坂下門から乾門まで、ゆっくり歩いて約三十分、
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今秋はまだほとんど逢ってゐない紅葉に逢ひつつ、
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現代東京の中心とは思へないやうな深閑たる木立ちに、江戸城の昔へ戻ったかのやうな錯覺に陥り、
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浮世は空間ばかりか、時間も廣いらしいと知る。