先ごろDVDで手に入れた「羅生門」を樂しむ。
学生時分にTV放映で初めて観て、いらい京マチ子さんに逢ひたくてリバイバル上映があるたびに足を運んだ名品。
デジタルリマスター版も、確か新宿の映画館で観てゐる。
画像も音聲も修復されたことで作品の深度がより鮮明になり、
世界中のアーティストが“触發”されずにはゐられなかった理由が、
さらに明瞭となる。
さう云へば、昭和二十八年(1948年)公開の「酔いどれ天使」を舞台化した幻の臺本が三船プロの倉庫から偶然に發見され、今年の九月から十月に明治座と新歌舞伎座で上演が決定云々。
が、役者とスタッフのあまりのショボさに、苦笑失笑。
三船敏郎の演じた役を、人から「目が三船敏郎に似てゐる」などと煽てられてその氣になってゐる──らしい──無名役者が演じやうと云ふのだから、業界の人材拂底ぶりが知れやうと云ふものだ。
まさに、「不要不急」なしろもの。