迦陵頻伽──ことだまのこゑ

手猿樂師•嵐悳江が見た浮世を気ままに語る。

てつみちがゆく──あの響きが復活!

2019-03-20 10:17:26 | 鐵路



JR西日本が、来年の春に往年の“新快速”117系を改造した長距離特急列車「WEST EXPRESS 銀河」を運行すると発表した。


「銀河」と聞くと、私などはやはり、東京~大阪を走った往年の寝台急行「銀河」を思ひ出す。

私も大阪に住んでゐた時代に二度乗ったことがあり、国鉄夜行列車の最後の砦のやうな、うらぶれた雰囲気が好きだったものだ──24系客車最後部の方向幕式ヘッドマークを写真に撮ってゐるはずのだが、いくら探しても出てこない……──。

もっとも今度の新しい特急の場合、運行区間を宇宙に見立て、星になぞらへた沿線各地域を結ぶ列車、といふ意味をこめての「銀河」ださうだから、往年の名称復活といふわけではないやうだ。


それでも、あの響きが甦ることは嬉しい。


なによりも素晴らしいのは、車両を新造するのではなく、117系といふ昭和の関西鉄道界に衝撃を与えた名車を改造して用ひる、といふ点だ。

私が大阪に住んでゐた頃には、すでに211系と223系に新快速の座を譲り、湖西線や奈良線などに活躍の場を移してゐたが、夕方ラッシュ時には助っ人として復帰し、往年の走りを見せてゐたものだ。


新しく特急として生まれ変はる117系は瑠璃紺色の六両編成で、前面には新たにデザインされたヘッドマークが取り付けるとのこと。

また、改造費が限られてゐる関係上、モーターは従来のものを続投させ、床にカーペットを敷くことで問題の騒音を抑へる、といふところにも、今ある物を有効に使おうといふ知恵と工夫があって好感が持てる。

もっとも私は、いま失はれつつある国鉄の“音”がこれからも聴けるといふところに、単純に喜びを覚えるのだが……。

なにしろ117系のモーターは、かつて特急「雷鳥」を追ひ抜いた“名品”なのである!


都電荒川線の7000形を7700形に改造して延命させたといふ快挙があるにせよ、東京首都圏の鉄道会社が制作するこの頃の新型車両は、デザイナーによほどセンスが無いのか、或ひは既にネタ切れなのか──まぁ両方だらうが──、奇形だらけで失笑も甚だしい(西武鉄道の今度の特急など、おいおいアタマ大丈夫か? である)。


そのやうな壊滅的状況のなか、往年の名車と名称を特急に格上げして甦らせる大阪の鉄道会社の仕事はまさに快挙、大阪は私の第二の故郷なだけに、まさに「こいつぁ春から縁起がいいわえ」である。


登場後はしばらく満席が続くだらうが、師匠に挨拶かたがた大阪を訪ねる楽しみが、また増へたといふもんや。

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