迦陵頻伽──ことだまのこゑ

手猿樂師•嵐悳江が見た浮世を気ままに語る。

返り元日。

2024-01-03 20:35:00 | 浮世見聞記


令和六年正月は元日から二日續けて暗い報ばかりゆゑ、今日こそは正月休みらしいことをと、部屋で懐かしの邦画鑑賞會を開く。


作品は昭和三十五年(1960年)東映制作の「御存じ いれずみ判官」、



云はずと知れた、片岡千恵藏御大が當り役の遠山金四郎を快演した娯樂時代劇。



加賀百萬石の乗っ取りを企む惡人たちを、千恵藏金四郎が将軍御前で美事にやっつける名場面は御大の下地である歌舞伎調に唸り上げた薹詞廻しも真骨頂にて、



唸り過ぎてコトバが多少不明瞭でも、御大持ち前の“華”で觀る者をも恐れ入らせるその名裁きぶりよ!


そんな千恵藏金四郎に華を添へるのが、女優陣以上に惡役の面々、



月形龍之介に、


山形勲!

“惡役は時代劇の華”と信じる惡役好きな私にはたまらない好配役にて、とくに山形勲はその名を聞いただけで胸が躍る。

さらに進藤英太郎も惡役に名を連ねてゐるのだから、もふ云ふことなし。



「忠臣蔵」映画では月形龍之介と並んで吉良上野介を好演するなど、時代劇映画では惡役を引き受けてゐた進藤英太郎はその後TVドラマへと活躍の場を移し、昭和四十三年(1968年)から一年間放映された「おやじ太鼓」では、一代で建設會社を築き上げた社長にして、家庭では頑固者の親父役で出演、



毎回何かしら怒ってゐながら、どこか愛嬌があって面白いおやじ像も好演し、さらに評価を高めた昭和の名優なり。

つひでながらこの「おやじ太鼓」、末娘役で出演してゐる沢田雅美が、ちょっと他に真似手のゐない可愛さで印象を殘してゐる。


觀たい懐かしの邦画はまだあれど、お樂しみはとっておくとしませう。












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