驛まで来て、私は足をとめた。
私が逢ひたいのは、だうやらあの人ではないらしい──
このまま押して出かけても、くたびれ損になるやもしれぬ。
過去にも憶へがある。
それが、私の足を引き留める。
やめやう。
結局、私はもと来た道を引き返す。
私は、あの人に逢ひたいのではないのかもしれない。
部屋に戻り、
CDを再生する。
いつの時代も変わらぬ聲が、そこから聴こえる。
私は、この人を偲びたかっただけなのだ──
私はさう納得させる。
心の奥の微かな後悔を、
己れに悟らせまいため……。
私が逢ひたいのは、だうやらあの人ではないらしい──
このまま押して出かけても、くたびれ損になるやもしれぬ。
過去にも憶へがある。
それが、私の足を引き留める。
やめやう。
結局、私はもと来た道を引き返す。
私は、あの人に逢ひたいのではないのかもしれない。
部屋に戻り、
CDを再生する。
いつの時代も変わらぬ聲が、そこから聴こえる。
私は、この人を偲びたかっただけなのだ──
私はさう納得させる。
心の奥の微かな後悔を、
己れに悟らせまいため……。