迦陵頻伽──ことだまのこゑ

手猿樂師•嵐悳江が見た浮世を気ままに語る。

心を手で語り目で聴く。

2017-01-21 20:18:01 | 浮世見聞記
国立能楽堂で、今年もろう者俳優たちによる「手話狂言・初春の会」を観る。


雇い主と使用人との、いつの世も変わらぬ心理をスケッチした「杭か人か」、夫婦関係とは何かを深く問ひかける「川上」。

ドタドタ劇になりかねないところを、地に足のついた確かな技芸で魅せ、ろう者も健常者も一体になって大いに笑ひを誘った「二人袴」―



休憩時間、ろう者の観客たちが、

『健常者は耳から情報が入るからいいけれど、わたしたちは目で手話を追ふぶん、目が疲れて眠気をさそわれる』

と、手話で会話をしながら笑ってゐる様子に、

「ああ、さういふものなのか……」

と、その人たちの立場でなくてはわからない事実を垣間見たやうで、ちょっと考へさせられた。
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