迦陵頻伽──ことだまのこゑ

手猿樂師•嵐悳江が見た浮世を気ままに語る。

わたしの教訓。

2018-03-11 15:07:00 | 浮世見聞記
七年前のこの日の昼下がり、屋外へ出た私は、向こふの交差点の角に建つ雑居ビルが、大きく波打ってゐる様に呆然となった。

地面が、強く揺れてゐるのだ……!

頭のなかは真っ白になり、

私はおのれの無力さを、

思ひ知らされた。


そして我に返ったとき、

私はたった今までのことが、

遠い過去の時間になったことを、

思ひ知らされた。





東北を襲った大津波に言葉を失ふさなか、

「人と人とのつながりの大切さを実感した」

などと宣って、結婚を発表した老女優がゐた。

要するに、老ひて独りでゐるのが寂しくなった、単純にそれだけのことである。

それを被災者の方々の現実にかこつけるとは、対岸の火事の太平楽もいいところ、失礼千万な老女だと嫌悪感を覚えた。





あの日、

己の無力を思ひ知らされたからこそ、

ヒトの本音の頼りなさを目の当たりにしたからこそ、

私は、

自分の人生は自分の力で切り拓くべきことを、

教訓として、

学んだのである。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 紅白の山路彩る明日かな。 | トップ | ニッポン徘徊──旧下大崎村点景。 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。