「どうしても行くのですね」
あなたは不思議でならないと云ふ顔をしてゐる。
あなたの、
あなただけの世界では、
さぞかし
さうでせう。
住んでいらっしゃるのは、
あなただけ。
あなたが手にしている定規では、
外の景色は、
けっして計れない。
狂ひが生じていることに、
あなたは気が付かない。
だからここへ、
置ゐて行くのです。
「またいつでも、戻 . . . 本文を読む
わたしはふと目を醒まして、
車窓へと目をやった。
そこには
あの日のままに
あなたがいた。
色を失った思ひ出が
鮮やかに息を吹き返す。
たぶん
逢えて
よかったのだろう。
思ひ出は、
ふたたび
色を失ふ。 . . . 本文を読む
「フォトスタジオの聖地・横浜」展を見に、横浜開港資料館へ。
時には自分の心を、
時には現実を、
ありのままに伝えたくて、
人は撮り継いでいく。
そこへ籠められた撮り手の“魂”は、
それを目にする者たちの手によって、
永久(とわ)に生き続ける。
あなたは
けっして衰えることのない美しさを
手に入れたのだ!
PHOTOを“寫眞”と初めて翻訳したのは、
一体誰なのだろ . . . 本文を読む
脆い街に住んでいると
人間も
脆くなるものなのだらうか
なす術のない生き物に
なってしまうのだらうか
そんなことはない
わたしたちには
経験と云ふ
武器があるのだ
この失はれぬ財産があるかぎり
この脆い街でも
生きることができる。
あとは
おのれの足で
この地に
立てるかだ
おのれの足で . . . 本文を読む
あなたに出逢ふと
わたしはいつも
かわらぬあなたに
心を
うたれる。
あなたの姿に
わたしはいつも
かはらぬことの意味を
教へられる。
わたしの心も
さうでなくては
なりますまひね。 . . . 本文を読む
他に何か出来ることがあれば、
そのために命が助かることもある。
その意味は、
とても、
大きい。
それだけしかないと云うことは、
あらゆる幅も、
それだけしかないと云うこと。
そんなのハッキリ言って、
つまらないね。
なんでも見て
なんでも聞いて
なんでも触れて
答えなんてそれからで充分だ。
せっかく、
いま、
生きているのだ。 . . . 本文を読む