ご存じの方も多いと思いますが、「金継ぎ」とは、破損した器を漆で接着しその継ぎ目に金粉を蒔いて飾る装飾法です。
写真の中心にある金色の曲線が,金継ぎをした跡です。
母から受け継いだ古伊万里の大皿を、ふとした不注意で割ってしまいました。亡くなった母が、大地主だった親戚から頂戴したというものですから、有に100年以上は経っている古伊万里です。母が亡くなる少し前、私が陶芸をやっているからと私に譲ってくれた、いわば母の形見です。すぐに金継ぎをしたのですがいかにも修理したようで気に入りません。
金継ぎにも様々なランクがあって、本漆を何べんも塗って乾かし本物の金粉で蒔く昔からの金継ぎから、合成樹脂のカシュウ漆を使って簡易に継ぐもの、最近ではポリキシ(ボンド)でも簡単に接続することができるようになりました。
昔、陶器が貴重品だった時代には、金継ぎも貴重でした。貴重な金を使って継ぐのですからそれによって器がさらに重厚に美しくならなくては,価値がありません。
「偶然のひびを必然の美に創りあげる」それが本来の金継ぎだったのです。
知人が「本漆を塗っては乾かす工程に数か月の時間を掛けtている」という本格的な金継ぎを習い始めたと聞いて、その先生に大皿の修復をお願いしました。
母の古伊万里をうまく次世代に引き渡すために・・・です。
(上記写真が修復後)