テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ あの日を、描く ~

2024-04-01 22:03:35 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 はッぴィ~えいぷりるゥ!」

「がるる!ぐるるるるがーる!」(←訳:虎です!エイプリルフール!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 毎年恒例のウソつき大合戦、

 2024年の勝者はマクドナルドさんの『マックの内弁当』!

 実現化してほしいぞ~と拍手を送りながら、

 さあ、読書タイムですよ。

 本日は、前回に続いて、こちらのコミック作品を、どうぞ~♪

  

 

 

           ―― ドッグスレッド 2 ――

 

 

 著者は野田サトル(のだ・さとる)さん、

 2024年2月に発行されました。

 第1巻からさほどの間を置かずしての2巻刊行ですね。

 

「こんどはァ、げんだいィ!」

「ぐるるがっるーるぐる!」(←訳:アイスホッケーでGO!)

 

 『ゴールデンカムイ』の明治時代後期から、

 21世紀の日本へ。

 

 前回記事では、主人公たる

 白川朗(しろかわ・ろう)くんが

 フィギュアスケートの世界と訣別した様子を

 簡単に御紹介しましたが……

 

 はい! ここで、宣言いたします。

 

 ここからは、盛大にネタバレあり!

 

 ネタバレなんてとんでもない!という御方は、

 どうか、↓この先は読み飛ばしちゃってください。

 

「ざわざわッ!」

「がるるぐるる!」(←訳:波乱の予感が!)

 

 北海道・苫小牧の、祖父宅に身を寄せ、

 新たな生活の一歩を踏み出すことになった

 朗くん(双子の兄)と、

 春名(はるな)ちゃん(双子の妹)。

 

 朗くんは、早くも重要な一歩を発見していました。

 それは、アイスホッケー。

 米国やカナダでは大人気のウィンタースポーツは、

 北海道の人びとにとってごく身近なもので、

 とりわけ苫小牧市民の期待を背負っているのが、

 

 狼之神(おいのかみ)高校アイスホッケー部。

 

 目下、インターハイで19連覇中、

 今年も勝てば20連覇達成!

 

 っていうんですから、

 強さは半端じゃありません。

 

 この第2巻では、

 狼之神高校アイスホッケー部と

 ライバルである青森県八戸市の

 八戸鮫王(さめおう)高校アイスホッケー部の激闘、

 そして、

 ”その後”の出来事が描かれているんですけれど。

 

 著者・野田さんは、

 そこに私たちが予想もしなかったバクダンを投げ入れました。

 

 狼之神高校との試合を終え、

 鮫王高校の選手さんたちが学校に戻ってきたのは、

 2011年の3月。

 

「えッ?」

「ぐる!」(←訳:ああ!)

 

 鮫王高校の2年生、17歳の

 五戸矢太郎(ごのへ・やたろう)くんは、

 来年への期待を隠し切れず、

 級友たちとのお喋りにも熱が籠もります。

 

 4月からは俺たち2年生がチームの主力!

 将来有望な1年生も入部してくる!

 もっと強くなれる!

 

 そのとき、鳴ったのです。

 携帯電話の、緊急地震速報のアラームが。

 

「にげてッにげてッ!」

「がるるるる!」(←訳:逃げるんだ!)

 

 校舎を脱出した生徒さんたちは、校庭に集められました。

 矢太郎くんはケータイを握りしめ、

 ようやっと父親と連絡がついて安堵したのも束の間、

 驚きに息を呑みます。

 父の話によれば、

 

 祖母が、自宅にいる。

 

 ひとりで、海がすぐ目の前の家に、いる。

 

 大津波警報のサイレンが鳴る町を、

 自転車で自宅へ走りながら

 矢太郎くんは見ました。

 

 真っ黒な海が、膨れ上がってゆく。

 

「――」

「――」

 

 津波を直接的に描写しているのは、

 分量にしてわずか6ページです。

 

 しかし、

 その6ページが、怖ろしい。

 

 東日本大震災の惨禍を描いたどんな小説や映画よりも、

 怖ろしく身に迫ってきて、

 しばらく身動きできませんでした。

 

 マンガです。

 フィクションです。

 そう分かっていても、津波の恐怖を、

 黒い波の禍々しさを、

 こうまで描き切るとは。

 あの日の絶望を、

 こんな形で絵画にして突きつけられるとは。

 

 マンガに何ができるのか。

 どこまで出来るのか。

 

 著者・野田さん(と編集者さん)の

 万感の思いと、

 一種の”覚悟”に裏打ちされた6ページなのだ、

 と言ったら大袈裟でしょうか。

 

「やッ、やたろうくんッ!」

「ぐるるるるるー!」(←訳:逃げ切るんだー!)

 

 矢太郎くんは、

 お祖母ちゃんは。

 鮫王高校の生徒さんたちは。

 ”あの日”を経験したすべての人の、その後は。

 

 長くなりましたが、

 これ以上は本当のネタバレになってしまうので、

 どうか皆さま、

 書店さんのコミックコーナーで

 ぜひ、『ドッグスレッド』1&2巻を探してみてくださいね。

 

 

 

 (付記:上記のように、作品中には地震と津波の描写があります。

     あの光景には耐えられない、見るのがつらいという御方は、

     無理はなさらぬよう……)

 

 

コメント
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