「こんにちわッ、テディちゃでス!
むゥ! むしィあついィ~!」
「がるる!ぐるるぅ??」(←訳:虎です!もう夏ぅ??)
こんにちは、ネーさです。
初夏のような陽気に、衣替えで大忙しの一日となりました。
サクラ咲く春、のどかな春よ、
もう少し続いておくれと願いながら、
さあ、読書タイムですよ。
本日は、こちらのスーパーハイパーな伝記作品を、どうぞ~!
―― 超人ナイチンゲール ――
著者は栗原康(くりはら・やすし)さん、
2023年11月に発行されました。
《クリミアの天使》と讃えられる近代医学の偉人
フローレンス・ナイチンゲールさん(1820~1910)の
伝記作品……なんです、けど……?
「たたかうゥ~てんしィ!」
「ぐるるがるぐぅるるる!」(←訳:ただの天使じゃないぞ!)
英国人として知られるナイチンゲールさん、
実は、英国生まれの英国育ち、ではありません。
風光明媚なイタリアのフィレンツェ
(当時はまだイタリア共和国ではありませんでしたが)にて、
ひとりの少女が生を享けたのは、
5月12日のことでした。
そして、
フィレンツェを英語読みにしたフローレンスという名を、
少女に授けた父と母は……
常識外れの富豪さん、だったのです。
「ふわァ~…おかねもちィ、でスかァ?」
「がるるぐる!」(←訳:大富豪だよ!)
数年がかりの、悠々然とした新婚旅行。
フローレンスさんも姉も、そののんびり旅行の最中に生まれ、
さらにまた、あちらの都市、こちらの町、と
旅を続けながら育って、
英国にそろそろ戻ろうか~となったのも、
母・ファニーさんが
豪勢なお屋敷で華麗な社交生活をする気満々になったから?
そう、ナイチンゲール・ファミリーがお付き合いするのは、
英国やフランスの社交界の、
いまをときめく花形の御婦人、
貴族や富豪さん、優秀と評判の知識人さんたち。
学問なんて、いらない。
理念も志望もなくていい。
ちょっとフランス語を喋れて、刺繍が出来れば、
当時の若い女性にとっては理想的と言える生活が待っていて、
フローレンスさんもその輪になじみ……
いや、無理。
むりムリ無理でした、まったく無理!
「だッ!」
「ぐるっ!」
最初の頃はね、フローレンスさんも
”華やかな社交界”ってヤツに染まりそうになったんです。
けれども、いうなれば、
フローレンスさん、収まり切らなかった、んですね。
知性優れた人びとと語らい合うのは、
リッチに着飾るのは、
悪くないけど、何かが違う。
それよりも私は、私は。
神の声を聞く。
天職を、選び取る。
「ふむむゥ、それがァ~」
「がるるる?」(←訳:看護の道?)
近代看護、だけではありません。
今日(こんにち)、
フローレンス・ナイチンゲールさんの名を検索すると、
そこに記されているのは、
社会起業家、統計学者、看護教育学者。
そんなジャンルへ、
19世紀の当時、
女性には全く門戸が開かれていなかったジャンルへ、
そもそも看護などという
存在すら認められていなかった荒野へ、
どう踏み入り、視界を覆う雑草をなで斬りにし、
邪魔をするツタをぶっちぎって叩き潰し、
泥道を舗装して土地を平らに拓いて、
柱を立て、屋根を整えていったのか。
著者・栗原さんは、
巧みなユーモアと強靭な分析力で
フローレンスさんが歩いた道を
私たち読み手の眼前に再構築してゆきます。
彼女は、どんな時代に生きたのか。
どんな思いで走っていったのか。
「いまこそォ~いてほしいィ!」
「ぐるがるぐるる!」(←訳:命を救う偉人に!)
全活字マニアさんにおすすめしたい快作です。
本屋さんで、図書館で、
ぜひ、探してみてくださいね~♪