テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 庭の扉を、いま開けば ~

2024-04-22 22:02:26 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 まつもとォせんせいィ~ッ!」

「がるる!ぐるるるぅるが~る!」(←訳:虎です!ヲタムちゃんさ~ん!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 BSドラマ『舟を編む』最終回は涙また涙、涙……でした。

 すべてのキャストさん&スタッフさんに拍手の嵐を、

 とりわけ辞書だらけの玄武書房辞書編集部を造り上げた

 美術チームさんにお疲れさま~!の拍手を送りながら、

 さあ、本日の読書タイムは、こちらの御本を、どうぞ~♪

  

 

 

          ―― 秘密の花園の向こうへ ――

 

 

 著者はアン・スウェイトさん、

 原著初版は1974年、改訂版は2020年に、

 画像の日本語版は2024年1月に発行されました。

 英語原題は『BEYOND THE SECRET GARDEN The Life of Frances Hodgson Burnett』、

 『フランシス・ホジソン・バーネットの生涯』と日本語副題が付されています。

 

「あはァ! ひみつのォはなぞのッ!」

「ぐるがるぐる~!」(←訳:名作児童文学~!)

 

 『秘密の花園』(1911)、

 それより以前に

 『小公子』(1886)、

 『小公女』(1905)、と

 児童文学の傑作を著したのは、

 フランシス・イライザ・ホジソン・バーネットさん(1849~1924)。

 バーネット夫人、と表記される場合もありますね。

 

 この御本は、フランシス・バーネットさんの伝記作品……

 なんですけれども、

 いやーもう、私たち日本人にとっては、

 『えっ?』や『は?』が多くて、驚かされます。

 

「ぶんかのォ、ちがいィ?」

「がるるぐる?」(←訳:時代の違い?)

 

 そもそも、御本冒頭の『はしがき』に記されている

 著者・スウェイトさんの

 ”バーネットさんについて書きたい”と思ったきっかけが

 最初の驚きです。

 

 ある児童文学者が、

 バーネット夫人は『派手な性格』で『魅力に欠け』

 『成功しているときは得意満面』『支配欲が強く』

 『気まぐれ』『自己中心的』『思い上がり』

 であると指摘していることを知り、

 ショックを受けた――

 

 って、私たちだってショックでしょ?

 派手な性格? 得意満面? 自己チュー?

 何なの、このディスられっぷりは?

 

「どういうことォ~でスかッ??」

「ぐるるがるぐるぅ……?」(←訳:何かの誤解かなぁ……?)

 

 バーネットさんは、

 いったいどのような人物であったのか。

 

 膨大な資料と記録から、

 スウェイトさんは彼女の人生をゆっくりと、

 しかし細部まで鮮やかに、浮かび上がらせてゆきます。

 

 英国の工業都市マンチェスターに生まれるも、

 早くに父を喪い、

 シングルマザーとなった母に連れられ、

 きょうだいたちとともに米国へ。

 が、頼った先の親類は、

 事業が傾き、一家の面倒をみるどころではありません。

 フランシスさんたちは窮乏し、

 日々の糧も満足に得られない……。

 

 そんな苦しい暮らしを、救ったのは。

 

 結果から言ってしまうと、

 フランシスさんの文才、でした。

 

「おおゥ!」

「がるる~!」(←訳:そうか~!)

 

 フランシスさん、正規の学校教育を受けたことも、

 優秀な家庭教師に学んだこともないんです。

 それでも、英国にいた頃、

 身の周りにはいつも本がありました。

 本の虫で、

 妹や友人に”おはなし”を話して聞かせるのが大好きで。

 ただ、作家になろうと考えたことはなかったんですけれども。

 

 貧しさに悩むある日、

 フランシスさんはふと気付きました。

 

 雑誌に、物語を投稿したら?

 

「よいィあいであァ、でスゥ!」

「ぐるるるがるるぅ!」(←訳:うんうんいいぞぉ!)

 

 すんなり、とは行かず、

 ドタバタの末……

 ついに、やりましたフランシスさん!

 短編2篇が採用されて、計35ドルを獲得!

 18歳にして作家人生の始まりです!

 

「やたッ!」

「がるっるぐる!」(←訳:良かったよう!)

 

 この頃フランシスさんが書いていたのは

 児童文学ではなく、

 大人向けの小説作品でした。

 それがどうして児童文学へと変針し、

 大ヒット作『小公子』『小公女』を

 刊行するに到るのか、

 今も世界中で愛される名作『秘密の花園』が生み出されたのか、

 スウェイトさんは調べてゆきます。

 

 偉大な作家なのに、

 なぜ、悪評がつきまとうのか。

 

 噂話や悪評を越えた先にある、

 フランシスさんの生涯とは。

 

「ずッしりィ!」

「ぐるるがるぐる!」(←訳:力作で大作です!)

 

 作家として”成功”した華やかな人生と、

 フランシスさんの私生活。

 

 その両方を詳細に描き上げたスウェイトさんの労作は、

 歴史好きな方々、

 近代英文学好きな活字マニアさんにおすすめですよ。

 『秘密の花園』を愛読する方々も、

 ぜひ、手に取ってみてくださいね~♪

 

 

 

コメント
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