テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 屋根が、塔が、あの丘の向こうに ~

2024-06-09 22:03:39 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 ひゃわわァ! がしつィ、きれいィでス!」

「がるる!ぐるがっるる!」(←訳:虎です!黒がくっきり!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 昨日6月8日にNHK BS4Kで放送された

 『ブレードランナー ファイナル・カット 4K版』の画像の、なんたる精細さ!

 これは、4Kを録画できる機器を揃えなアカンよ、

 という天の声かと呆然としつつ、

 さあ、本日の読書タイムは、こちらの御本を、どうぞ~♪

  

 

 

        ―― ミステリな建築 建築なミステリ ――

 

 

 文は篠田真由美(しのだ・まゆみ)さん、

 イラストは長沖充(ながおき・みつる)さん、

 2024年3月に発行されました。

 『Mysterious Architecture・Architectural Mystery』

 と英語題名が付されています。

 

「めいけんちくゥとォ、めいさくゥみすてりィ!」

「ぐるるがるるるるる~!」(←訳:相性がいいんだよね~!)

 

 E・A・ポーさん作『アッシャー家の崩壊』以来、

 名作ミステリにはしばしば、

 ”ただならぬ”建築物が登場します。

 

 いえ、ミステリだとか、フィクションだとかに限らず、

 名建築には、ドラマに相応しい風格があり、

 独自の歴史を備えていますよね。

 

 この御本では、

 第一部『建築のミステリを読む』

 で現実に存在する建物のミステリが、

 第二部『ミステリを建築で読む』

 でミステリ作品の中に描かれた建築が取り上げられています。

 

 現実世界、あるいは空想世界の平原に屹立する

 幻のホテルや、

 暗黒の城館をめぐるエッセイは、計15編。

 その15編の中のイチ推しは?と訊かれたら……

 はい、↓こちらです!

 

 『鹿鳴館は若きコンドルの失敗作だったのか

   敢えて定説に異を唱える試み』

 

「あはァ! ろくめいかんッ!」

「がるぐるる!」(←訳:あの有名な!)

 

 ええ、そうです、”あの有名な”鹿鳴館です。

 

 1883年、現在の帝国ホテルに隣接する土地に

 明治政府が大金を投じて建設した“迎賓館”こそ

 鹿鳴館(ろくめいかん)でした。

 

 しかし、政府の威信をたっぷり詰め込んだ

 豪華絢爛な建築は、全方位からの批判を浴びることに。

 

「ふまんッ、ぷんぷんッ!」

「ぐっるるる~!」(←訳:カッコ悪い~!)

 

 外務卿・井上馨さんが失脚して後は、

 歴史の表舞台から卒然と姿を消した明治の不夜城の、

 真の姿かたちは、どんなものであったろう?

 

 フランスの海軍士官として

 当時の日本を訪れたピエール・ロチさんは、

 温泉町のカジノ、と酷評していて、

 このロチさんの見解が現代でも

 繰り返し引用されている……けれど。

 

 本当に、そうだったのか?

 取るに足りない、価値ゼロの半端な折衷建築?

 日本にやって来たばかりの設計者ジョサイア・コンドルの、

 ”若さゆえのミス”案件だったのか?

 

 残された僅かな資料や証言から、

 篠田さんが見出した『鹿鳴館』とは。

 

「こッちのもォ、どきどきィ!」

「がるぐるるるぅ!」(←訳:胸が熱くなるぅ!)

 

 第二部の後半には、

 小栗虫太郎さん作『黒死館殺人事件』、

 中井英夫さん作『虚無への供物』という

 名作中の名作も登場します。

 

 とりわけ、『黒死館』の章では、

 作者・小栗さんと解析者・篠田さん、

 御二方の間に青白い火花がスパークしているかのような凄味が……!

 

「まッ、まぶしいィ!」

「ぐるるがるるぐるがる!」(←訳:挑戦と冒険の一編です!)

 

 『黒死館殺人事件』の冒頭近くで、

 黒死館は北相模(きたさがみ)の地に建てられた、

 と小栗さんは著しています。

 相模(現・神奈川県相模原市)のお隣りの、

 多摩エリアに住む私たちは、考えてしまいますね。

 黒死館は、どこにあったのだろう?

 ……もしかして、今もある、のだろうか?

 あの丘陵を越えた辺りに?

 

 ミステリ好きな活字マニアさんにとっては

 まことに幸福な、

 愉しいひとときを与えてくれる一冊です。

 もっちろん、建築好きな方々も、

 ぜひ、手に取ってみてくださいね~♪

 

 

コメント
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