「こんにちわッ、テディちゃでス!
きょうがァ、いちばァ~んッながいけどォ?」
「がるる!ぐるるるがる~!」(←訳:虎です!明日から短縮~!)
こんにちは、ネーさです。
今日6月21日は、夏至ですね。
一年でいちば~ん長い夕暮れ……を楽しむには
お天気がいまひとつでしたが、
さあ、読書タイムで明るく気分転換と参りましょう~♪
―― デヴィッド・ストーン・マーティンの素晴らしい世界 ――
著者は村上春樹(むらかみ・はるき)さん、
2024年2月に発行されました。
『The Wonderful World of David Stone Martin』と
英語題名が付されています。
「むむッ? なにものォ、でスかッ?」
「ぐるるがるぐるる?」(←訳:実在のヒトだよね?)
デヴィッド・ストーン・マーティンさんは、
はい、もちろん、実在の人物ですよ。
1913年6月13日、
シカゴに生まれたマーティンさんは、
早くから絵の才能を認められ、
奨学金を得てシカゴ美術学校で学んだのち、
イリノイ州のアートプロジェクトのディレクターを務め、
大戦中は従軍画家として戦地にも赴きました。
そのマーティンさんが
レコード・ジャケットのデザインを初めて手掛けたのは、
1944年のこと。
小さなレコード会社の、
SPレコードのデザインから始まって、
有名なトランぺッターさんのロゴをデザインしたり、
新興レーベルのデザインを請け負うようにもなり、
やがてはレーベルの美術ディレクターの地位を提供されるほど
マーティンさんのお仕事は好評を博しました。
「じゃずゥ、でスねッ!」
「がるぅるぐるぅ♫」(←訳:オシャレだなぁ♫)
御本冒頭の『まえがき』で
著者・村上さんが言うには、レーベルの経営者さんは、
どうやらこのユニークなデザイナーに
細かい注文を一切つけなかった
ということで、
つまりマーティンさんは、
気の向くまま、自由に、
ジャケットのデザイン画を描いていたようです。
米国では、これは非常に珍しいことで、
レコードジャケットのデザインをする際は
あれこれ細かく注文されるのが当たり前、なんですね。
マーティンさんは数多くのジャケットをデザインしましたが、
この御本で村上さんが紹介しているのは、
チャーリー・パーカーさん(アルト・サックス)、
ジョニー・ホッジズさん(アルト・サックス)、
スタン・ゲッツさん(テナー・サックス)、
バド・パウエルさん(ピアノ)、
オスカー・ピーターソンさん(ピアノ)、
ライオネル・ハンプトンさん(ヴィブラフォン)、
タル・ファーロウさん(ギター)、
ビリー・ホリディさん(ヴォーカル)
といった音楽史に輝くアーティストさんの、
歴史的な名盤たち。
私ネーさは、
ビリー・ホリディさんのジャケ(本文120~123ページ)、
マトリックスか?と笑ってしまいそうになる
12インチ盤(本文139ページ)、
オスカー・ピーターソンさんの『COLLATES』(本文74ページ)
に見惚れました……。
「いまもォ、きらきらァしてまス!」
「ぐるがるるるる!」(←訳:全然古びてない!)
1992年3月、
コネチカット州ニューロンドンにて、
マーティンさんは旅立ちました。
おそらくは、愛する音楽に包まれて。
この御本には、著者・村上さんが所蔵する
マーティンさんのデザインによるジャズレコード188枚の図版と、
解説文が収録されています。
配信が”常識”になりつつある現在、
レコードやCDの《ジャケ買い》は
すっかり遠くなった……のかもしれませんが、
音楽好き&アート好きな活字マニアさんは、
ぜひ、マーティンさんの『素晴らしい世界』へ
飛び込んでみてくださいね~♪