テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 御山の薄暮に ~

2024-08-25 22:03:50 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 ううむゥ! たんぺんえいがァ、みたいでスゥ!」

「がるる!ぐるがる!」(←訳:虎です!力作だよ!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 2日前の公開された米津玄師さんの『がたくた』MVの、

 見る者を呪縛するような深淵……!

 今日も思わずヘビロテしながら、

 おっと、読書タイムも忘れてはいけませんね。

 では、本日の読書タイムは、こちらの御本を、どうぞ~♪

  

 

 

         ―― 完本 神坐(いま)す山の物語 ――

 

 

 著者は浅田次郎(あさだ・じろう)さん、

 2024年6月に発行されました。

 

 東京・多摩エリアの¨霊山¨といえば、

 高尾山(たかおさん)と、

 御嶽山(みたけさん)が広く知られています。

 (注:御岳山と表記する場合もあります)

 

 そして、

 著者・浅田さんのお母様の出身は

 御嶽山にある武蔵御嶽神社とあって、

 浅田さんは御嶽神社を舞台とする《こわい話》を

 語ってきたのですが。

 

「かんぽんッ??」

「ぐるっるぅるる?」(←訳:終わっちゃうの?)

 

 終わってほしくない、いつまでも続いて欲しいのに、

 と、しょんぼりしつつ、

 御本を手に取ってみれば、

 たちまちのうちに意識は御嶽の山へと飛んでゆきます。

 

 この『完本』には、

 既に文庫化されている作品9編と、

 書き下ろし作品『山揺らぐ』、

 単行本未収録であった

 『長いあとがき あるいは神上りましし諸人の話』

 が収録されています。

 

 時期的にひどく衝撃的だったのは、

 やはり何と言っても

 『山揺らぐ』でしょうか。

 

 揺らぐ――この言葉からも想像できますように、

 背景となっているのは、

 大正12年(1923年)9月1日に発生した

 関東大震災です。

 

「なにかァ、きこえまスゥ!」

「がるーっるぐるる!」(←訳:ゴオーッていう音!)

 

 正午より、わずかに前。

 巨大な¨うねり¨が関東平野を襲いました。

 東京の西、奥多摩に位置する御嶽山へも、

 禍々しい¨うねり¨の牙が迫り来る様子を、

 山上の神社に暮らす人々は目撃します。

 

 平野も、麓も、山上も、

 百年に一度の天災に為す術はなく。

 

 揺れがようやっと治まってからも、

 禍々しい出来事が次々と。

 

「こわいィでス!」

「ぐるがるぐる!」(←訳:怪談より怖い!)

 

 いままで、東京や横浜の市街地で

 関東大震災を経験した小説や映像作品はありましたが、

 奥多摩の山の上という、

 特殊な場所で遭遇した地震を描いたのは、

 浅田さんが初めて、かもしれません。

 

 神社に人びとは、はたして、

 未曽有の難事とどう対峙し、

 悲劇を乗り越えるべく努めたのか。

 

「どうかァ、おわらないでェ!」

「がっるぐるるる!」(←訳:もっと知りたい!)

 

 物語全体を象徴する、

 お狐さまをも調伏する験力の主・ヒゲのおじいさん。

 

 ¨視えるひと¨であったヒゲのおじいさんには、

 その大きなチカラに見合うほどの

 凛々しくも壮絶な若き日々があったに違いなく、

 できることなら、ヒゲのおじいさんの一代記を

 読んでみたいものです。

 

 全活字マニアさんに激おすすめの、

 近くて遠い御山のものがたり、

 ぜひ、一読してみてくださいね♪

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする