テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

悪漢なのか?貴公子なのか?

2011-03-29 22:27:36 | ブックス
 こんにちは、ネーさです。
 鬼の霍乱からそこそこ?回復いたしました……ふぅ~。
 
「こんにちわッ、テディちゃでス!」
「がるるっ!ぐるるがるるる!」(←訳:虎ですっ!今日はあったかでしたね!)
「さくらッ、もうすぐゥさきそゥ~♪」

 寒さも弛んだ本日は、
 熱き魂をもって時代を駆け抜けた或る人物をテーマにした作品を
 御紹介いたしましょう。
 こちらを、どうぞ~!

  


 
          ―― チェーザレ・ボルジア あるいは優雅なる冷酷 ――


 
 著者は塩野七生さん、画像の文庫版は1982年に発行されました。
 前々回の記事で御紹介しました『海の都の物語』と同じく、
 イタリアを描かせたらこの御方の右に出るものなし!な塩野さんの、
 代表作とも言える一冊です。

 テディちゃ、虎くんは、知っているかしら?
 映画『第三の男』に登場する有名すぎるセリフを?

   ボリジア家の圧政はルネサンスの芸術を生み出したが、
   スイスの平和は何を生み出した?
   鳩時計だけじゃないか!

「うむッ? きいたことあるゥようなッ?」
「ぐるるるるがるがる!」(←訳:ボク鳩時計好きだけど!)

 セリフで言及されているボルジア家とは、
 法王アレサンドロ六世と、
 その子チェーザレ・ボルジア。
 
 もしもイタリアで
 歴史上の大悪人を挙げよ!
 なんてアンケートが行われたなら、
 この一家さん、
 相当な高確率でベスト10入りするのは間違いない、でしょうね。
 法王庁を私物化し、
 僧侶の身でありながら贅沢三昧、
 暗殺やら決闘やら陰謀やら、
 ボルジア家につきまとうのは
 良からぬ評判ばかり……。

 でも、本当にそうなのでしょうか?
 その見方は、適切なのか?

 塩野さんは、そんな疑問を読み手に突き付けます。

「ほんとうはァ、ちがうッてことォ??」
「がるるるる!」(←訳:有り得るね!)

 しばしば、日本史上の人物では織田信長さんと比較されるチェーザレ・ボルジア……
 判明している資料を元に、
 時には新鮮で独自な解釈を、
 また時には想像力の翼を羽ばたかせながら、
 塩野さんはチェーザレの生涯を綴ってゆきます。
 イタリア統一。
 20世紀に到るまで誰も成し遂げられなかった野望を胸に、
 時代に愛され、
 時代に流されて潰えたひとりの男児の、
 思いの軌跡を。

「よーろぴあんッ、だねッ!」
「ぐるがるぐるるるー!」(←訳:コスモポリタンかもー!)

 後世、容赦なく、悪漢、悪人と罵られ、
 映画などでは残虐な悪役に設定されたボルジア家……
 既成概念の厚い壁に立ち向かう若きチェーザレと
 無名に近かった時代の塩野さんの筆は、
 熱く、真摯にリンクします。
 
 真実は、事実は、何処にあるのか?
 我々は有名な歴史家たちの解釈を鵜吞みにしていてよいのか?

 歴史関係の御本はあんまり読まないんだけどー?
 ルネサンス? ややこしくない?
 と考えちゃう御方も、どうか一読を!
 悪!であるはずのチェーザレに、
 いつの間にか魅せられます!

「いざゆけェ、るねッさんすゥじだいッ!」
「ぐるーがるがるる!」(←訳:チェーザレの時代へ!)
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