テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 一炊の、一睡の。 ~

2025-02-16 22:03:51 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 じゅしょうゥ、おめでとうございまス~なのでス!」

「がるる!ぐるがる~!」(←訳:虎です!拍手喝采~!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 第45回日本SF大賞は、

 市川春子さんのコミック作品『宝石の国』(全13巻)に!

 特別賞は宮西建礼さんの小説『銀河風帆走』に!

 お祝いの拍手を全力で送ったら、

 さあ、読書タイムに切り替えて、本日はこちらの御本を、どうぞ~♪

  

 

 

          ―― 名画に見る《悪》の系譜 ――

 

 

 著者は中野京子(なかの・きょうこ)さん、

 2024年8月に発行されました。

 

 著者・中野さんの令名を高めたのは、なんといっても

 2007年に刊行された『怖い絵』に始まる

 《怖い絵》シリーズでしょうか。

 この御本――『名画に見る《悪》の系譜』は、

 《怖い絵》シリーズを想わせる

 ”恐怖を炙り出してゆく”美術評論集です。

 

「うむむゥ、こわくゥみえないィのにィ~?」

「ぐるがるるるるるるぐる~!」(←訳:よく見直してみると怖い~!)

 

 私たち日本人には分かり難い、

 西洋絵画の中の、

 寓意や、暗喩。

 

 ここで取り上げられている作品は、

 

 カバネルさん作

 『死刑囚に毒を試すクレオパトラ』(1887年)

 

 ジェロームさん作『シーザーの死』(1859~67年)

 

 コリアさん作『犯行後のクリュタイムネストラ』(1882年)

 

 といった、

 生殺与奪、裏切者、など

 ダークな主題のものばかりですから、

 寓意の解読が進むにつれ、

 背筋は、ひんやり、ぞわぞわ……。

 

「むッ? あれれッ、これはァ~…?」

「がるるるぐるるるがるる?」(←訳:あんまり怖くないような?)

 

 ティツィアーノ・ヴェチェッリオさん作

 『鏡の前の女』(16世紀後半)は、

 長い髪の若い女性を描いた作品です。

 (本文106ページに図版が掲載されています)

 

 ヴェネツィア派の巨匠ティツィアーノさん(1490~1576)は、

 文中に中野さんが書いておられるように、

 王さまや法皇さま、大貴族さんたちから

 大々人気の画家さんでした。

 この『鏡の前の女』も、

 裕福な貴族からの依頼で

 美しい娘さんをモデルとして描いた肖像画……と

 見えなくもありませんが。

 

 中野さんは、この美女を、

 典型的な《虚栄》をテーマとする作品であると読み、

 解説してゆきます。

 

 どれほど美しくても、

 己惚(うぬぼ)れるなかれ、

 驕(おご)るなかれ。

 そう、《虚栄》は、

 キリスト教においては、看過できない罪なのです。

 

 さらに驚くべきことに、中野さんは、

 画面の構図、描き入れられている小道具類から、

 美女の”寿命”までも推測してしまいます。

 

 彼女の”時間”は、残り少ない、と。

 

「えええッ?」

「ぐるるる~??」(←訳:そこまで~??)

 

 花の美貌も、一炊の夢――

 

 名画によって顕現する、

 傲岸、欺瞞、虚栄、虐待、

 貧困、不遜、不条理……

 高笑いする数々の《悪》。

 

 《怖い絵》シリーズで

 中野さんのファンになった方々に激推し、

 アート本好きな活字マニアさんにも

 おすすめの一冊ですよ。

 ぜひ、本屋さんで探してみてくださいね~♪

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