「こんにちわッ、テディちゃでス!
じゅしょうゥ、おめでとうございまス~なのでス!」
「がるる!ぐるがる~!」(←訳:虎です!拍手喝采~!)
こんにちは、ネーさです。
第45回日本SF大賞は、
市川春子さんのコミック作品『宝石の国』(全13巻)に!
特別賞は宮西建礼さんの小説『銀河風帆走』に!
お祝いの拍手を全力で送ったら、
さあ、読書タイムに切り替えて、本日はこちらの御本を、どうぞ~♪
―― 名画に見る《悪》の系譜 ――
著者は中野京子(なかの・きょうこ)さん、
2024年8月に発行されました。
著者・中野さんの令名を高めたのは、なんといっても
2007年に刊行された『怖い絵』に始まる
《怖い絵》シリーズでしょうか。
この御本――『名画に見る《悪》の系譜』は、
《怖い絵》シリーズを想わせる
”恐怖を炙り出してゆく”美術評論集です。
「うむむゥ、こわくゥみえないィのにィ~?」
「ぐるがるるるるるるぐる~!」(←訳:よく見直してみると怖い~!)
私たち日本人には分かり難い、
西洋絵画の中の、
寓意や、暗喩。
ここで取り上げられている作品は、
カバネルさん作
『死刑囚に毒を試すクレオパトラ』(1887年)
ジェロームさん作『シーザーの死』(1859~67年)
コリアさん作『犯行後のクリュタイムネストラ』(1882年)
といった、
生殺与奪、裏切者、など
ダークな主題のものばかりですから、
寓意の解読が進むにつれ、
背筋は、ひんやり、ぞわぞわ……。
「むッ? あれれッ、これはァ~…?」
「がるるるぐるるるがるる?」(←訳:あんまり怖くないような?)
ティツィアーノ・ヴェチェッリオさん作
『鏡の前の女』(16世紀後半)は、
長い髪の若い女性を描いた作品です。
(本文106ページに図版が掲載されています)
ヴェネツィア派の巨匠ティツィアーノさん(1490~1576)は、
文中に中野さんが書いておられるように、
王さまや法皇さま、大貴族さんたちから
大々人気の画家さんでした。
この『鏡の前の女』も、
裕福な貴族からの依頼で
美しい娘さんをモデルとして描いた肖像画……と
見えなくもありませんが。
中野さんは、この美女を、
典型的な《虚栄》をテーマとする作品であると読み、
解説してゆきます。
どれほど美しくても、
己惚(うぬぼ)れるなかれ、
驕(おご)るなかれ。
そう、《虚栄》は、
キリスト教においては、看過できない罪なのです。
さらに驚くべきことに、中野さんは、
画面の構図、描き入れられている小道具類から、
美女の”寿命”までも推測してしまいます。
彼女の”時間”は、残り少ない、と。
「えええッ?」
「ぐるるる~??」(←訳:そこまで~??)
花の美貌も、一炊の夢――
名画によって顕現する、
傲岸、欺瞞、虚栄、虐待、
貧困、不遜、不条理……
高笑いする数々の《悪》。
《怖い絵》シリーズで
中野さんのファンになった方々に激推し、
アート本好きな活字マニアさんにも
おすすめの一冊ですよ。
ぜひ、本屋さんで探してみてくださいね~♪
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