『親と子の詞歌集―知恵の花かご』(桜塚ひさ編著・むらさき堂)という本を読んでいる。
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40人ばかりの詩人や歌人の、ほぼ親が子を思う作品が並ぶアンソロジーである。
その一作一作に桜塚さんの解説がついている。
桜塚さんは《なお、編著者による各詩篇の解釈、鑑賞はあくまで読者のための参考に過ぎません。読者それぞれの感性により、さまざまに解釈されますよう期待します。》と「まえがき」に書いておられる。
ところがこの解説がなかなか深みのある味があって、いいです。単に編者ではないということ。
目次を見て驚いた。
うちにある直筆書簡や直筆原稿の主の名前が結構多くあるのだ。
吉井勇、窪田空穂、竹中郁、田中冬二、堀口大学、など。
中に永井ますみさんの名前もあって彼女は現在も神戸で活躍の詩人。
いつも同人誌を送ってきてくださっているし、「喫茶・輪」へもお越しいただいたことがある。
まだ中ほどまで読んだところだが、いい詩があった。
←クリック。
大木実の「おさなご」という詩。
どうってことなさそうで、胸に沁み入ります。人柄の滲み出た作品ですね。
こんなん好きです。添えられた解説に「ささやかでもかけがえのない幸せがあったことが分かります。」とあります。
ほかにこんなのも。
「こえ」 赤木一夫
おかあちゃんが
きをつけてねといった
ぼくは
はいいってきますといった
おかあちゃんのこえが
ついてきた
がっこうまでついてきた (出典不明)
小学一年生の男の子だという。ほぼ口頭詩ですね。
あ、そうだ。こんなのがある。
「無題」
時計の針が
走るように進む。
一時間があっという間だ。
一日もあっという間だ。
一年もあっという間だ。
時計の針が 走るように進む。
ぼくがおとなになるのもあっという間だ。 (作者出典不詳)
小学校高学年の作品とのこと。
これを読んで思い出したのが、口頭詩集『きよのパーティ』にある「時計」。
「時計」
あの時計ね
ひとが見とったら
動かへんねん。 (きよ5歳)
テーマは異なるが、どこか通ずるところがあるような。
ほかにも、竹中郁の有名な「たのしき磔刑」など、親と子にまつわる心動かす作品がいっぱい並んでいて、
今子育てをしている人には大いに役に立つ一冊かもしれない。
わたしはもうとうの昔に卒業してしまったのだが、これを読むと、もう一度若くなって子育てしてみたくなってしまう。
後を読むのが楽しみ。
お勧め本 『完本コーヒーカップの耳』
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40人ばかりの詩人や歌人の、ほぼ親が子を思う作品が並ぶアンソロジーである。
その一作一作に桜塚さんの解説がついている。
桜塚さんは《なお、編著者による各詩篇の解釈、鑑賞はあくまで読者のための参考に過ぎません。読者それぞれの感性により、さまざまに解釈されますよう期待します。》と「まえがき」に書いておられる。
ところがこの解説がなかなか深みのある味があって、いいです。単に編者ではないということ。
目次を見て驚いた。
うちにある直筆書簡や直筆原稿の主の名前が結構多くあるのだ。
吉井勇、窪田空穂、竹中郁、田中冬二、堀口大学、など。
中に永井ますみさんの名前もあって彼女は現在も神戸で活躍の詩人。
いつも同人誌を送ってきてくださっているし、「喫茶・輪」へもお越しいただいたことがある。
まだ中ほどまで読んだところだが、いい詩があった。
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大木実の「おさなご」という詩。
どうってことなさそうで、胸に沁み入ります。人柄の滲み出た作品ですね。
こんなん好きです。添えられた解説に「ささやかでもかけがえのない幸せがあったことが分かります。」とあります。
ほかにこんなのも。
「こえ」 赤木一夫
おかあちゃんが
きをつけてねといった
ぼくは
はいいってきますといった
おかあちゃんのこえが
ついてきた
がっこうまでついてきた (出典不明)
小学一年生の男の子だという。ほぼ口頭詩ですね。
あ、そうだ。こんなのがある。
「無題」
時計の針が
走るように進む。
一時間があっという間だ。
一日もあっという間だ。
一年もあっという間だ。
時計の針が 走るように進む。
ぼくがおとなになるのもあっという間だ。 (作者出典不詳)
小学校高学年の作品とのこと。
これを読んで思い出したのが、口頭詩集『きよのパーティ』にある「時計」。
「時計」
あの時計ね
ひとが見とったら
動かへんねん。 (きよ5歳)
テーマは異なるが、どこか通ずるところがあるような。
ほかにも、竹中郁の有名な「たのしき磔刑」など、親と子にまつわる心動かす作品がいっぱい並んでいて、
今子育てをしている人には大いに役に立つ一冊かもしれない。
わたしはもうとうの昔に卒業してしまったのだが、これを読むと、もう一度若くなって子育てしてみたくなってしまう。
後を読むのが楽しみ。
お勧め本 『完本コーヒーカップの耳』