『食べることと出すこと』という本を読んでいて印象的な箇所に出合った。
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《私の祖父は、私にはとてもやさしい人だったが、若いころはお膳をひっくり返して怒るような暴君であったらしい。
(略)
幼いころの父と祖母は、よく二人で抱き合って泣いていたらしい。
そんな祖母が病気で寝込んで、下の世話を人にしてもらわなければならなくなった時、意外にも祖父がそれをすべてやったそうだ。祖母が亡くなるまで、何年もずっと。
通常なら、嫁の仕事とされた時代だが、嫁にはやらせなかった。嫁というのが私の母だが、「あれは不思議だった」と言っていた。
(略)
祖母に屈辱を味わわせたくなかったらしい。
(略)
下の世話には、お膳をひっくり返すような男の態度まで一変させるような、何かがあるということか。》
これを読んで、なにごとかを考えてしまうのはわたしだけだろうか。
『コーヒーカップの耳』
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《私の祖父は、私にはとてもやさしい人だったが、若いころはお膳をひっくり返して怒るような暴君であったらしい。
(略)
幼いころの父と祖母は、よく二人で抱き合って泣いていたらしい。
そんな祖母が病気で寝込んで、下の世話を人にしてもらわなければならなくなった時、意外にも祖父がそれをすべてやったそうだ。祖母が亡くなるまで、何年もずっと。
通常なら、嫁の仕事とされた時代だが、嫁にはやらせなかった。嫁というのが私の母だが、「あれは不思議だった」と言っていた。
(略)
祖母に屈辱を味わわせたくなかったらしい。
(略)
下の世話には、お膳をひっくり返すような男の態度まで一変させるような、何かがあるということか。》
これを読んで、なにごとかを考えてしまうのはわたしだけだろうか。
『コーヒーカップの耳』