
《三省堂の地階にはレストランもあって、ひところ雪中梅を飲ませてくれた。》
この中の「雪中梅」。
新潟の名酒です。
今はどうなんでしょう。あの頃入手困難なお酒でした。
「あのころ」というのは「喫茶輪」が大いににぎわっていた頃のこと。
もう20年以上も昔。村上さんという強烈な個性のお客さんがおられて、長距離トレーラーのオーナー運転手でした。
『コーヒーカップの耳』の中では「村中さん」で度々登場します。
その人が新潟方面に行った時にたまに買って帰って来られて飲ませてもらったのでした。
透き通った感じの美味しいお酒でした。
公の値段は一升瓶で1000円もしなかったのですが、その値段では入手できず、5000円以上だったと思います。
それでも入手困難のお酒。幻の名酒とも言われていました。
村上さんは、ほかにやはり新潟の名酒「越乃寒梅」も買ってきてくださったことが何度かあります。
これもプレミアがついて一万円ほどだったと思います。
その昔には田中角栄事務所が買い占めていたとのうわさがあったりしました。
すっかり忘れていたこんな話、「雪中梅」で思い出しました。