団塊の世代のつぶやき

誇れる日本を取り戻そう

★ウィグル弾圧のChinaと取引するのは非人道

2020年06月26日 | 中国

 金の為にウィグル弾圧も見てみぬ振りをしてChinaと取引するのは非人道的であることは明らかですが、日本企業にまだまだ諦め切れずに撤退しない企業が多いことは日本人として余りにも恥ずかしい。

  日本人は完全に武士の心を捨て去ったようです。


  何と、宮崎さんが、China新幹線乗車報告の中でこのチベットやウィグルの問題を詳しく取上げてくれています。今回は新幹線は登場しません。
  
  「宮崎正弘の国際情勢解題」より   令和2年(2020)6月23日(火曜日) 通巻第6552号

 第十七章 南モンゴル、ウィグル、チベット

▲中国の残虐はチベットで顕著に露呈した

 チベットのラサへは成都から飛行機で飛んだ。空港で驚いたのは大型機が次から次へと中国各地から到着し、観光ブームの頂点 に湧いていた。空港からラサ市内までは一時間半ほど。渓流や水たまり、でこぼこ道を越えるので四輪駆動でないと、安定しな い。
 ラサ市内であちこちを見たが、ようすにチベット族は差別を受けて、ろくな職場がないこと、仏教寺院はありきたりで、とても 僧侶達が真剣に仏典を勉強しているとは思えず、ひどく俗化していたこと。ポタラ宮殿は偉容を誇るが、内部はそこら中に公安デ スクがあり、警戒が厳しく、広場ではうっかりすると物乞いがまといつく、それもじつにしつこい。
 市内にアメリカ人女性が経営するバアがあって、スコッチを飲んだが、一杯程度では高山病にかかることもなく、最終日にうっ かり四杯呑んだら、一晩中頭が痛くて眠れない。嗚呼、これが高山病というやつか、と貴重な体験をした。
 ひとことで言うとチベットは完全に漢族の支配下にはいってしまった、表向きの寺院とは無縁の俗世である。知識人も僧侶も、 ほとんどが粛清されたか、外国へ逃げたからだ。

 チベットはいかにして侵略され、自由が失われてしまったのか、これまでにも多くが語られた。
ダライラマ法王にはノーベル平和賞が授与され、そのダライラマに感激したハリウッド俳優のリチャード・ギアはチベット仏教徒 になった。エディ・マーフェイは若き日のダライラマを助ける映画の主演を演じた。ブラッド・ピットはエベレスト登山の冒険野 郎が、ダライラマにひかれてゆく物語の映画に主演した。
 ダライラマが訪米すれば大統領が面談する。わが日本は仏教国であるにも拘わらず、歴代首相が面会したことはない。
 日本はいつの間にかサムライ精神を忘却の彼方へ葬り去った。

 ▲このチベットの惨劇が明日の香港の運命を襲うかも知れない

 香港と台湾は過去の出来事を学んだ。とくに香港は『国歌安全法』がいずれ言論の自由を封じ込めることになると不安を募ら せ、「第二のチベット」か、或いは「第二のウィグル」になるのではないか、不安が増すのも中国共産党がいかなる凶暴性を発揮 してきたかを知り尽くしているからだ。
 沈黙を続ければ、静かに侵略はすすみ、自由社会は消え、中国共産党の奴隷に転落するという悲劇的な地獄を迎える。
 悲劇は繰り返されている。南モンゴル、チベット、そして現在の進行中はウィグル族への血の弾圧だ。

 ペマ・ギャルポ『犠牲者120万人 祖国を中国に奪われたチベット人が語る侵略に気づいていない日本人』(ハート出版)の 行間にもチベット人の悲劇、
その懊悩と悲惨な逃避行のパセティックな思いが滲み出ている。温厚で信仰心熱きチベットは中国にあっという間に侵略され、中 国に味方する裏切り者も手伝って、120万もの同胞が犠牲となった。ダライラマ法王は決死の覚悟でヒマラヤを越えてインドに 亡命政府をつくった。その深い悲しみ、暗澹たる悲哀、血なまぐさい惨劇、しかしこのチベットの教訓こそが、香港、台湾、そし て日本がいま直面している危機に直結する。
「日本人よ、中国の属国に陥落し、かれらの奴隷となっても良いのか」とペマ氏は訴える。
 チベットは「寛容の国」だった。
 それゆえに「寛容の陥穽」に嵌って邪悪な武装組織、つまり中国という暴力団の塊のような、ならず者によって滅ばされた。日 本は平和憲法という、寛容な国家の基本法を押しつけられてから七十四年も経つのに、未だに後生大事に墨守している。それが国 を滅ぼす元凶であること、左翼の言う「平和憲法」擁護には騙されてはいけないことをペマさんは力説している。
 百万人の強制収容所問題で世界を揺らすウィグルの悲劇もチベットのパターンを踏襲している。

 ▲ウィグル自治区で何が起きたか

 十数年前に新彊ウィグル自治区を旅し、ウルムチから列車でトルファンへ入った。
途中のハミ駅で熟した瓜を買った。じつに美味い。トルファンでは干しぶどう、これもまた絶品だった。当時、中国で売り出した ばかりの「長城」をいうワインはフランスのワインとまでは行かないけれどもなかなか乙な味だった。
 江沢民時代の新彊ウィグル自治区は外国人にほぼ全域が開放されていて、かなり自由に写真撮影もできた。
 ウルムチやトルファン市内の屋台に溢れる羊肉、皆がイスラム帽をかぶり、女性はスカーフが多かったけれども、顔を隠してい るわけでもなかった。
観光名所のベゼクリク千仏窟は、いかにイスラムが仏像を破壊したかの廃墟跡を意図的に見せているような気がした。岩だらけの 高台には孫悟空ワンダーランドとかのテーマパークも出来ていた。
 ウィグル自治区の各地でコルランの普及率を調べたが、何処にも、それこそ一ケ所にもコルランを売る書店もなければモスクの 受付にもなかった。田舎へ行くとモスクは閉鎖されたところが多く、そのモスクの周囲は物静かで人影もなかった。
コルラン販売の監視とモスクの出入りがチェックされている様子は呑み込めた。

  ▲留学生がおびただしく行方不明になった

 2017年頃からエジプト留学から帰国したウィグル族の若者が当局に拘束されて行方を絶った。家族が心配して心当たりを捜 したが、杳として行方がしれない。同様な「事件」が頻発していると在日のウィグル人組織が騒ぎだした。
2018年にはドイツやトルコの海外ウィグル人組織が騒ぎ出し、議会が動き、国際団体が調査に乗り出した。ついに国連の人権 委員会で取り上げられた。
 なかには家族が偽りの電話を強要され、父親が病気とかで外国へ電話をかけて急いで留学先から帰ると、有無を言わせずに強制 収容所に放り込まれ、そのまま一年以上。
 合計八千名のウィグル族の若者の留学帰りが収容所で「再教育」という名の下に洗脳教育を受けていた。いずれもイスラム圏へ の留学という共通点があった。
もともとウィグル族はイスラム教を篤く信仰してきた。無神論の中国共産党は、それ自体が一神教であるから異教徒は許容できな い。

 この弾圧の中心人物は陳全国(政治局員)だ。
 2016年8月29日、陳全国が新彊ウィグル自治区の党委員会書記に任命された。直前まで陳全国はチベット自治区の書記 だった。つまりチベット弾圧の責任者だったから、ウィグル自治区にはいっても民衆の弾圧、暴力支配など得意技だった。
 陳全国は1955年に河南省に生まれた。武漢の大学をでて軍隊に入隊し、共産党へ入党して頭角を現し、2010年に河北省 省長に就任した。異例のスピード出世である。その後、習近平の覚え目出度くチベット書記に栄転した。現在はトップ25の政治 局員でもある。
 同じ頃、重慶特別市書記だった孫政才が唐突に解任され、新たに陳敏爾が任命された。孫政才の解任理由は「薄煕来の腐敗体質 の残滓を重慶市から積極的に排除できず、そのままに旧幹部等をのさばらせ、自らも汚職に励んだ」などとする冤罪だった。要は 共産主義青年団の「希望の星」だった孫を潜在的ライバル視してきた習近平にとって、将来の独裁に邪魔になるから排除したに過 ぎない。
 陳全国も陳敏爾も習近平の子飼い、イエスマン若しくは茶坊主、行政手腕が無能でも、おべんちゃらがうまければ出世街道を驀 進できる。阿諛追従の才能だけは秀逸なのだ。下手に理論家だったり戦略論をぶったりすると無学な習近平から逆恨みされるの だ。

 ウィグル自治区の悲劇は、このときから一層無惨になった。
 2009年に勃発したウルムチ暴動で、漢族が武器を持って手当たり次第にウィグル族を虐殺し、多くのウィグルの若者は隣の カザフスタンへ逃げた。その数は数万人と言われるが、そのうちの一万人ほどがシリアの軍事訓練基地へ送られ、ISのメンバー 入りした。
 かれらは漢族への復讐心に燃える。中国の諜報機関はシリア政府、同時にISにも武器を提供して巧妙に近づき、かれらの動向 の情報収集に躍起となった。テロリストとして訓練され、中国に帰ってくることを怖れたからだった。
 ISをスピンアウトした過激派は「漢族に血の復讐を。中国人を血の川へ投げ込め」などと煽動するヴィデオを作成し、ユー チューブで配信した。びっくり仰天の中国共産党はあらゆる手段を講じてでもウィグル族過激派の撲滅排除に乗り出す。
 陳全国は新彊ウィグル自治区の党書記となるや、「宗教活動を厳密に規制し、イスラム文化の表現をやめさせ、辻々には検問所 を設け、顔識別とAI機器を駆使して手配者の逮捕を強化し、さらに砂漠に次々と強制収容所を設営し、拷問による改宗を強要し た」(『TIME』、2018年8月27日号)。

 ▲再教育センターとは監獄である

 そうやってイスラムを学んできたウィグルの若者の洗脳教育を始めた。「改宗」できない者は独房にぶち込み、イスラム教徒が 忌み嫌う豚肉を与え、しかも独房の狭い牢獄に三人も五人も入れてストレスを溜めさせる。睡眠不足とし、洗脳の効果をあげよう と急いだ。それでも「直らない」ケースでは家族も強制収容所に入れた。出所してすぐに死ぬという悲劇が相次いだ。

 米国の偵察衛星が収容所の数が急増していることを突き止めた。また強制収容所ばかりか、再教育センターもつくられ、家族全 員のDNAや血液が収集されデータベースに入力された。デジタル全体主義の支配システムである。
 トランプ政権はこのような人道に悖る人権無視の民族浄化を黙ってみることはなかった。
 衛星写真の証拠を楯にして、これを対中政治カードとする。ゲイ・マクドゥーガル国連人権差別撤廃委員は2018年8月10 日、国連委員会で「200万人のムスリムが強制収容所で再教育を受けているという報告がある」と爆弾発言した。
マクドゥーガルは「なかには髭を貯えていた、ベールを被っていた」などの理由で拘束されているケースも報告されているとし、 「ウィグル族の民族的アイデンティティの喪失が目的だ」と中国を非難した。
 またウィグル女性は漢族の男性としか結婚できないという規則を強要しているとの情報があり、そうなるとユーゴスラビアでお きた「エスニック・クレンジンング」(民族浄化)という悪夢の再来である。あの時、セルビアは欧米社会から猛烈な非難を浴 び、孤立を怖れたセルビア国民はミロセビッチ、カラジッチという民族の英雄を国際法廷に送り込んだ。
 中国は国連報告をただちに否定し、「あそこは強制収容所ではない、あれは職業訓練センターであり、ウィグル人の教育向上と 雇用機会の増大をはかる目的だ。漢族も収容されている。われわれが警戒して取り締まっているのはテロリスト、分裂主義者、過 激な宗教活動家だけだ」などと平然と嘯いた。

 これはチベットにおける120万人の無辜の民と僧侶の虐殺を「農奴解放」と言ってのけた嘘の論理の適用である(チベットに 農奴はいなかった)。
 またウィグルの動きに触発されて隣の青海省、四川省、甘粛省、陝西省、寧夏回族自治区などではモスクの監視が厳格化され、 とくに後者の回族自治区のモスクは「改修」を詐っての取り壊しが計画されたため信者がモスクに座り込み開始した。 
 イスラムは国境なき連帯のコミュニテイィであり、ウィグル族への苛烈な弾圧は口コミを通じて世界のムスリムに拡大した。ト ルコはこの時、中国を激しく批判し、旅行制限をだしたほど対立的だった。
 ムスリムの中国敵視は米国の対中国認識とはレベルの異なる、感情的エトスが含まれているのである。 

 ▲日和見主義だった欧米が中国に強硬となった

 習近平時代となって強烈なイスラムへの弾圧が強まった。陳全国の悪名は世界にとどろき、「悪代官」と呼ばれる。収容されて いるウィグル人は百万人ともいわれるのに、イスラム同胞をかかえる国々は中国の人権抑圧を批判しない。米国も911テロ事件 以来、「東トルキスタン開放同盟」を「テロリスト」とうっかり認定してからこれまでは黙りを決め込んできた。
 その日和見的態度をがらりと変えたのがトランプ政権だった。
 ペンス副大統領が正式にイスラムに言及し、ウィグル族の不当拘束を避難する演説を行ったのは2018年十月だった。 2019年七月には日本を含む22ヶ国が中国政府を批判する声明に署名した。トランプ大統領はウィグル族をふくむ少数民族の 代表者をホワイトハウスに招いて実情を聞いた(19年7月17日)。

 しかし奇妙なことにイスラム国家のサウジもエジプトもカザフスタンもキルギスも右の署名には応じなかった。イスラム国家と は言え、みな独裁政治であり、おなじ独裁の中国とはたいそう馬が合うのだ。
 だからイスラムはテロリストだという中国の嘘宣伝を楯にイスラム同胞への惨い弾圧には目を瞑ってきた。

 ▲イスラムの影響を抜き取るのが収容所の目的なのだ

 福島香織『ウィグル人に何が起きているのか』(PHP新書)はウィグルへの突撃取材を試みたルポで、エティガール寺院の現 場報告から始めている。
 「美しいミナレットが特徴で、一日五回行われる礼拝の時間にはアザーンが流れるとガイドブックには書いてあるのだが、(中 略)流れていなかった。寺院の屋根には五星紅旗が翻る。宗教施設に国旗を掲げることは2018年二月以降、義務化されている のだが、これほど不自然な光景もない」。
 しかも寺院前広場はゴーカートなど子供遊園地に化け、戦車の乗り物もある。目抜き通りを歩くと「路上にはゴミ一つ落ちてお らず、清潔だ(中略)が、どこかよそよそしい、この作り話めいた空気は何だろう。青いジャージに赤いネッカチーフの小学生た ちが、中国語の童謡を唱いながら歩いていた。ああわかった。テーマパークだ」
 タクシーにのっても監視カメラ内臓のため運転手と会話は弾まず、車内には「社会の秩序を乱してはいけない」などのポス ター、どこもかしこにも監視カメラだらけ。
「人々は正直で親切だ。だが、人を含めて全部作り物のようだった。彼らは昔ほど陽気ではなかった」
 福島香織さんの観察の目は鋭く、さらに牧畜が行方不明となっている現実をみた。どこにも羊の姿はなかったのだ。町からも村 からも消えていた。ウイグルは「巨大な監獄」だった。それも「21世紀で最も残酷な監獄社会」だ。

 所内では漢語の強制、豚肉を食べさせ、ウイグル族の文化的背景、イスラム教の影響を抜き取り、漢族風に洗脳する目的だった ことは述べた。
 中国語を教え、中国の法律を叩き込み、そのうえ中国共産党の獅子吼する「愛国」教育を徹底させた。その一方で、縫製、メカ ニカルエンジニアリングからホテルの清掃のやり方など教育、訓練した。
 反抗したウイグル族が相当数、拷問され、収容所内で死亡した。
こうした事実はその後、亡命に成功したウイグル族女性によって米国議会の公聴会証言で明らかとなった。米議会は超党派で中国 への批判を強めた。
 トランプ政権はウイグル弾圧に用いられたとして監視カメラ、顔面識別、AI技術を製造するハイクビジョンなど中国企業の 28社を[EL]リストに加え取引停止とした。ペンス副大統領の二度に亘る対中批判演説にはこれらの裏付けがあった。

  アメリカもトランプさん登場までは日本以上に酷かったと言えるでしょうが、今や取り残された情け無い日本です。
  この宮崎さんの報告を読んでもChinaを切れない日本人は人間じゃないでしょう。



最新の画像もっと見る

コメントを投稿