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卓球温泉

2015年08月06日 00時09分09秒 | 邦画1991~2000年

 ◇卓球温泉(1998年 日本 110分)

 監督・脚本 山川元

 

 ◇ロケ地へ別所温泉

 ちなみに宿の撮影は田沢温泉の「ますや旅館」と白骨温泉の「白船荘 新宅旅館」だったらしい。

 ますや旅館には今も尚、卓球台がある。

 ちなみに、温泉で卓球をしたという記憶は、新入社員の頃、越後湯沢だったか、うちの会社の経営している鄙びた温泉旅館があって、そこに同期の男連中と泊まりに行ったときのものだ。以来、卓球というものを一度もしたことがない。曖昧な記憶なんだけど、スマッシュを打ち合ったような気がして、負けたら嫌だな~という妙なプライドが顔をのぞかせていた。ぼくは友達と勝負事をすることが嫌いで、負ければ嫌な気になるし、かといって買っても後味が悪い。だから、友達と勝負するのは嫌で、このときもなんだかな~とおもってた。

 なのに、当時、温泉には卓球台があったんだよね。だいたい、どこの誰が温泉で卓球なんてするんだよとおもってたし、温泉に来て卓球してわあわあ騒ぐ連中の気がしれなかった。だから、はっきりいった話、温泉宿に卓球台があるのは好きじゃなかった。たぶん、ぼくよりもひと世代上の連中が好きだったんじゃないかと。けどさ、温泉旅館って、卓球台は今もときどきあるのに、ビリヤード台ってなかなかないんだよね。なんでなんだろね?

 ま、そんな温泉の卓球の話なんだけど、この映画を観て、ちょっと目からうろこが落ちた。

 わざとらしい演技や演出、テレビドラマみたいな単調さ、特徴のない画面、なにをとってもあんまり記憶に残らない出だしと中盤とラストなんだけど、まあ、松坂慶子はあいかわらずの松坂慶子で、この人、おばさんになってからずっと人の良いおばさんに徹してるんだよね。それはそれで凄いのかもしれないんだけど、この人の特徴が遺憾なく発揮されたといえなくもない。なんたって、温泉に現実逃避してきた人妻が卓球で町おこしをしたらどうだろうっていう田舎の温泉街に協力して唯一得意なものである卓球の指導と大会の運営までしちゃうっていう話なんだから、ちょっとおまぬけなお人好ししかやらない松坂慶子にはぴったりの役柄だった。いや、話したいのはそんなことじゃない。

 目からうろこだったのは「温泉の卓球っていうのはどれだけ長くラリーを続けられるかってことが大事なの」っていう定義だ。これは、すごい。温泉の卓球でスマッシュとかするのは、空気を読めないあほたれなんだよね。またそういうのをみてぎゃあぎゃあ騒ぐのも温泉場の礼儀を知らない奴ってことなんだよね。なるほど!

 この定義を教えてくれただけでも、この映画は作った意義があるんだよ、たぶん。

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