◇センチメンタル・アドベンチャー(1982年 アメリカ 122分)
原題 Honkytonk Man
監督 クリント・イーストウッド
◇息子と共演
息子カイルが甥の役で出演しているんだけど、後にカイルはジャズミュージシャンになることをおもうと、なんとなくそういう運命を匂わせるような気もする。
なんていうのか、イーストウッドの現実味のあるしみじみした映画は日本でもリメイクできそうなものが多いんだけど、ところが、たとえばこんな筋立ての映画なんて作っちゃった日にゃあ、目も当てられないほどお涙頂戴のくだらない作品になること請け合いだ。ところが、イーストウッドだとそうじゃなくなっちゃうんだから、やっぱりさすがだ。
ただ、世界恐慌の時代を舞台にしているところが味噌で、これが現代だったらちょっとばかりグレードは下がる。イーストウッドという人はそういうところをよくわかっていて、グランド・オール・オプリに出ることが歌手として最大の登竜門だったという時代背景がなんとも上手に組み込まれてるんだよね、たぶん。
もっとも、世界恐慌の時代はイーストウッド家にとっても大変な時代だったようで、父と子が共演するには自分の人生において忘れられない時代に、つまり、自分がカイルの年齢だった時代に舞台を設定したかったんだろう。つまり、ここでカイルの演じている子供はイーストウッドの幼き日の見立てってことになるんだろう。