◎我が大草原の母(2010年 中国 100分)
原題 額吉
英題 My Mongolian Mother
監督 寧才
◎1960年代の内モンゴルに風車はない、そうだ。
けど、画面に映り込んでるのはどうやらわざとらしい。なんだかってことは、それぞれが考えればいいんだけど、それにしてもよく撮ってる。
1960年代、中国は深刻な飢饉に見舞われ、上海の家庭から3000人の子供たちが内蒙古へ養子に出されたそうだ。で、この主人公もそのひとりで、妹ともらわれていく。けど、内蒙古だって当時は貧乏なわけで、それでもこのお母さんは実の子もありながらこの兄妹をひきとって育てるわけだよね。そのあたり、なんでこんなに優しいんだっておもうけど、観ている内にまったく自然なことにおもえてくる。内蒙古の人達のふところの深さなんだろね。
兄妹はやがて大人になる。で、ほんとの親が現れる。最初にあらわれるのは教師になってた妹の方なんだけど、実の親がひきとりたいというのを、このお母さんはすんなりと認めるんだな。これはたいしたもんだ。まあ女の子はいつか嫁ぐんだしね。でも、兄の方はどうかというと、やっぱり実の親が現れ、結局は上海の家庭に顔は出すようにはなるものの、生みの親より育ての親っていう展開になるんだよね。予想はつくものの、このお母さんを演じた監督の奥さん、ナーレンホアっていう役者さんらしいんだけど、なんとも情愛深い演技で、納得させられるんだよね。