◇運び屋(2018年 アメリカ 116分)
原題 The Mule
監督・主演/クリント・イーストウッド 音楽/アルトゥロ・サンドバル
出演/ブラッドリー・クーパー ローレンス・フィッシュバーン ダイアン・ウィースト アンディ・ガルシア
◇The Sinaloa Cartel's 90-Year-Old Drug Mule
2014年のニューヨーク・タイムズの記事は、そんなタイトルだったらしい。
高評価なのは、イーストウッドへの賛辞を呈したということになるんだろう。
主人公が頑固で偏屈でこだわりが強くて利かん気という設定は『グラン・トリノ』と同じっていうか、まあいつものイーストウッドなんだけれども、これまでと違うのは違法を犯しているかどうか、さらにそれを気づきながらもまだ続けてゆくという設定だ。これがどうにも腑に落ちない。
イーストウッドは周りの誰が認めようとも、自分が違法を犯してしまうことに堪え切れないほどの嫌悪を抱き、そのくそったれにちかいような根性が最後に爆発するところがいいと、個人的にはおもってる。だから、このたびも前評判が良かったからなおさら、あ~これは最後には、この白いブツを運び続けた車でパトカーを先導あるいはわざと追跡させ、自分の命を懸けても麻薬カルテルを撲滅させるか、そこまで行かないながらも一発食らわしてくれるんだろうなって期待したんだけど、はずれた。
被告人席に立ったイーストウッドの「ギルティ」っていう苦み走ったひと言だけだ。なんだかな~。
たしかに、描かれてる麻薬密売組織は、この実際の運び屋に園芸家のエル・タタことレオ・シャープ爺さんがどうかしたところでびくともしなかったろうし、ここで嘘っぱちの展開をさせることに作り手は躊躇したかもしれないけれど、そこはそれ、映画なんだから、もう少し別な展開があってもいいんじゃないかっておもうんだけどね。
でも、90歳の主人公の映画ってなかなかないし、そうしたところからすれば、たしかにイーストウッドは凄いとはおもうけどさ。それにひきかえ、アンディ・ガルシアの太ったことといったら、なんだか悲しくなったわ。